「ジャンクなイメージは昔の話!? 世界のファーストフードチェーンのヴィーガン&ベジタリアンメニュー最新事情」の取材を進めるうちに、ファーストフードチェーンは多様化する現代に対応するメニューを開発するだけではなく、最先端の課題対策も進んでいるのを知る事になった。
現代社会の課題というのは「環境問題」「ジェンダー問題」「ダイバーシティー」などが挙げられるが、そこにはオーストリアの社会事情や、人々の意識なども反映されていた。
それぞれのチェーン店が取り組んでいる課題と共に見ていこうと思う。
幅広く具体的な目標を掲げるバーガーキング
オーストリアにあるファーストフードチェーン店の中で、ヴィーガンやベジタリアンメニュー提供において最先端を行っている「バーガーキング」。
現代社会の課題についても多くの課題に具体的に数字や目標を挙げて取り組んでいる。
「バーガーキングオーストリア」は、国連が掲げた「持続可能な開発のための2030アジェンダ (SDGs) 」 の趣旨に賛同。取り組みに参加していくとして「製品」「環境問題」「社会的責任」の3つの大きなポイントを掲げている。
バーガーキングのウェブサイトにある「行動する時が来た。環境保全だけではない」と記載されているページのスクリーンショット
まず「製品」について。
食材の生産地を明確にし、認定された場所で製造されたものを使用する。人口着色料や保存料不使用、塩や砂糖の量を減らす、環境や動物に悪影響を与えているパーム油は不使用など製品に対する基準は厳しく管理されている。
食品の輸送にかかるエネルギー消費やコストが少ないこと、そして食品管理が行き届くという理由などから既にビーフは100%国産のものを使用。
他の食材はヨーロッパ内から来ているが、2025年までに使用する全ての食材の75%を国産にし、エネルギーコストを5%削減、顧客満足度を年間5%アップするなどという目標を設定している。
次は「環境」について。
現時点で既にパッケージの70%は再利用可能な素材で作られており、2021年までに全てのストロー、ナイフ、フォーク、パッケージなどは紙や木などの素材に変更した。
それだけではなく、2025年までに、包装自体を今までの10%に減らすという目標を掲げている。食材の輸送も何カ所も経由するのではなく、1回でお店まで届くようなシステムを確立、2025年までに輸送のほとんどはE‐トラックにする見通しだ。
また2020年からは地球上の二酸化炭素削減プロジェクトの一環で、2025年までに3500本の木を植えるという目標を掲げコスタリカの原始林(熱帯雨林)の植林の為の募金を集めている。
最後の大きなテーマは「社会的責任」。
バーガーキングオーストリアでは100の国籍を持つ1200人の従業員がいる。年齢や性別、出身地、セクシュアリティー、役職などに関わらず、それぞれの従業員の家庭環境にも応じた働きやすい職場や条件を提供している。
また従業員の教育、研修制度も充実させ、2025年までに女性の管理職を5%増やすこと、毎年最低5人のレストランマネージャーを生み出すこと、年間最低50人の研修生を積極的に受け入れ、未来の従業員を育てて行くことなども目標に掲げ、「ジェンダー問題」「ダイバーシティー」などの課題にも取り組んでいる。