テクノロジー・メディア・通信業界の中で、今、もっとも成長著しい企業とはいったいどんな会社なのか。
デロイト トーマツ グループはこのほど、日本国内のTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界の企業を対象にした収益(売上高)に基づく成長率のランキング「Technology Fast 50 2022 Japan(以下、Fast 50)」を発表した。
1位は売上高成長率486.7%の株式会社RevComm
今回で20回目となる2022年度の1位はビジネス向けのAI搭載型クラウドIP電話「MiiTel(ミーテル)」を手掛ける株式会社RevCommで、過去3決算期の収益(売上高)に基づく成長率は486.7%だった。
2位は、店舗のWEBサイトや各種SNSを一括管理し運用管理コスト削減する「カンリー」を手掛ける株式会社カンリ―で357.5%。
3位は、石灰石が主原料の環境配慮型新素材LIMEXの開発・製造・販売と資源循環事業を行う株式会社TBM(ティービーエム)で成長率は333.7%を記録した。
<Technology Fast 50 2022 Japanランキング>
※(未) は未上場企業、それ以外は上場企業を示す(2023年4月末時点)。
※受賞回数は2022年度分を含み、初は初受賞を示す。
2022年度のランキング傾向
受賞企業50社の3決算期売上高成長率の平均値は143%(2.43倍)で、全体の半分に相当する25社が、成長率100%(2倍)以上~300%(4倍)未満のゾーンに集中する結果となった。(図表1)
事業領域別の構成比を見ると、最も多かったのがソフトウエアで全体の66%、2位がメディアの14%、3位が通信で10%となった。受賞企業の中には、クリーンテック、ハードウエア、およびライフサイエンス領域の企業も含まれている。いずれの領域においてもAIやSaaS、プラットフォーム運営などの事業を展開する企業の受賞が目立った。(図表2)
受賞企業の売上高規模の内訳では、50億円未満の受賞企業(10億円未満、10億~50億円未満の合計)の比率が拡大し、前回を18ポイント上回る84%となった。
一方、50億円以上の受賞企業(50億~100億円未満、100億~500億円未満、500億円以上の合計)の比率は2019年から26%、28%、34%と右肩上がりで推移していたが、22年は16%と低下している。(図表3)
Fast 50は、デロイトが世界規模で開催しているTMT業界における成長企業を表彰する国毎のランキングプログラムだ。日本ではTMT業界の企業を過去3決算期の収益(売上高)に基づく成長率によりランキングし、上位50社を発表する。収益成長率を指標とすることにより、企業規模によらない成長性を示すことができる。
このランキングは、企業の成長性や成功を知る上でのTMT業界におけるベンチマークの役割を果たし、Fast 50の受賞によって知名度の向上や、企業間のネットワークの構築にも繋がるものと考える。
ランキング対象となる事業領域は、①半導体や部品・コンピュータ、周辺機器等を含むハードウエア、②アプリや各種管理運用システムを含むソフトウエア、③インターネットやクラウドサービスを含む通信、④広告やマーケティング、Eコマースを含むメディア、⑤バイオや製薬を含むライフサイエンス、⑥再生技術やエネルギー貯蔵、機器を含むクリーンテック、以上の6領域だ。
出典元:デロイト トーマツ グループ
構成/こじへい