【AJの読み】祖父・祖母世代にも好意的に受け止められたマッチングアプリ
少子高齢化で生産年齢人口の減少が著しい地方都市では、人口減少対策や若者支援に積極的に取り組む自治体も多いが、桑名市は伊藤市長を筆頭に市の職員がマッチングアプリの特長やメリットを非常によく理解しており、市民への調査も踏まえて今回の連携協定に至ったという経緯がある。
今回の連携協定については、マッチングアプリの認知度が高い20代には好意的に受け入れられているが、予想外だったのが高齢者にも好評だったということ。40~50代はマッチングアプリと出会い系サイトを混同して不安を感じている人が多かったそうだが、60~70代は「これが令和のやり方」と好意的に受け止めているという。なかなか結婚相手が見つからない孫や子どもを心配していた祖父・祖母の世代が、市が後押ししてくれるのならマッチングアプリを勧めたいという声もあったそうだ。
桑名市の課題解決のためには、ペアーズで相手が見つかり、桑名市に定住して家庭を築いてもらうことが理想ではあるが、桑名市は名古屋から車で40分ほどの場所。結婚して名古屋に移住する可能性もあるのでは?
「桑名市民の方が結婚して名古屋や東京に行ってしまう可能性もありますが、そんな小さいことを言っている場合ではないと思うんですね(笑)。桑名に住んでいただけるような街づくりをしていくことが私の使命ですし、桑名に限らず、結婚したくても良い人に出会う機会がないという若者も多い。彼らの希望が叶う社会を作るために桑名市としてできることを全力でやるだけです」(伊藤市長)
「検索で居住地の条件として県内、市内在住と近い距離の希望を入れることができ、近くに住む人が良いというニーズにも対応できます。中には名古屋、東京の方が希望というケースもあるかもしれないですが、それでも我々としては桑名市民の方に桑名市にいながら出会いの場を提供できるということが大きな価値だと思っています」(山本CEO)
今回トークセッションが開催されたのは、遊園地や温泉、プール、ホテル、アウトレットパークなどを擁する“桑名市が誇る一大リゾート”「ナガシマリゾート」の一施設「なばなの里」。
季節の花々やイルミネーションが楽しめる施設で、会場となったベコニアガーデンは数百種に及ぶ約1万2000株の花が咲き誇る大温室で、まるで絵画のような風景が広がる、伊藤市長もイチオシのデートスポットだ。
桑名は、古くからはまぐりの名産地としても知られており、「2枚の殻がぴったりと重なることから夫婦円満の縁起物とされるはまぐりを、ぜひカップルで味わってほしい」(伊藤市長)とのこと。
文/阿部純子