3. 被相続人の異母兄弟等が相続人となる場合|相続分が異なるケースあり
亡くなった被相続人の異母兄弟等が相続人として遺産を取得する場合は、兄弟姉妹間で相続分が異なることがあります。
異母兄弟等の相続分は、被相続人と父母の双方を同じくする兄弟姉妹(=同母兄弟等)の半分です(民法900条4号但し書き)。
したがって、被相続人に同母兄弟等と異母兄弟等が両方いる場合には、人によって相続分が異なります。
(例)
被相続人の同母兄弟であるA・Bと、異母兄弟であるC・Dの計4名が相続人である場合
→法定相続分は、
A:3分の1
B:3分の1
C:6分の1
D:6分の1
また、被相続人の異母兄弟等が、被相続人と共通の親の非嫡出子であるケースも考えられます。
この場合、異母兄弟等はその親の認知を受けなければ、被相続人の遺産を相続できません。
(例)
被相続人に異母兄弟であるAがいるが、Aは被相続人と共通の親であるPの非嫡出子であり、Pから認知を受けていない
→AとPは法律上の親子ではないため、被相続人とAは法律上の兄弟姉妹ではなく、Aは被相続人の遺産を相続できない
※相続発生後でも、遺産分割の完了前にAがPから認知を受ければ、被相続人の遺産を相続可能(民法784条)
4. まとめ
異母兄弟等が関係する相続については、一般的な相続とは異なる注意点が存在します。また、異母兄弟等は疎遠であるケースが多いため、相続トラブルが発生するリスクも高い傾向にあります。
相続トラブルの発生を予防するためには、生前の段階から相続対策を行うのがよいでしょう。
具体的には、遺言書や家族信託によって遺産の分け方を決めておく、非嫡出子がいる場合は認知を済ませるなどの対策が考えられます。
ご家庭の状況に合わせて、相続に向けてどのような準備をすべきかをご検討ください。
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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