病院という大きな市場が生まれる!?
房野氏:iPhoneやiPadはなぜsXGPに対応したのですか?
石野氏: グローバルで標準化されてはいるんですよ。つまりLTEの一種として実装されていて、Band39として標準化されている。チップが対応しているし、ソフトウエアを用意すれば使える。
法林氏:iPhoneが対応している周波数帯で、ソフトウェア的に処理すれば対応できる。プロトコルを載せれば大丈夫ですよってことで実装したんだと思います。ソフトバンクとして、自分たちが商売しやすいのと、統一環境でできるからということでiPhone、という面もあると思います。
石川氏:今まではiPhoneとPHSの2台持っていたのが、iPhone1台で済む。さらに、iPhoneが対応することによって、アップルとしては病院の内線需要を獲得できる。さらに、そこに「患者のデータをiPhoneで見られるようにしましょう」とか「患者のデータを見て共有しましょう」という具合に医療現場のDX化にiPhoneが採用される可能性が生まれる。「患者さんみんなにApple Watchを着けてもらってデータを取りましょう」みたいなことにつなげることもできるので、可能性のある市場といえる。だって年間40万台売れる自営PHSの市場があるわけだから、医療現場で何百万台レベルの端末需要があることになる。
石野氏:ソフトバンクは標準化で頑張っていた。
房野氏:sXGPに対応しているほかの端末ってありますか?
石川氏:シャープや京セラの一部のAndroidスマートフォンが対応しています。日本メーカーの製品は結構あります。
房野氏:料金とかはどこが徴収することになるのでしょう。
法林氏:構内PHS同様、ソリューションとして提供する。病院に対して「ウチで全部システムをそろえませんか?」と営業されるわけです。
石川氏:システムと保守代ですね。
房野氏:通信速度はどれくらいなんですか?
石川氏:それが遅いんですよ、14Mbpsくらいだったかな。帯域幅が狭いってことで。
房野氏:構内では電話中心の使い方になりそうですかね。
法林氏:安いし、壊れないし、ちゃんと保守して面倒見てくれるのが大事だから。
石野氏:PHSそのものの規格はなくなったけれど、sXGPとして生き残り、周波数も生きてるし、ソフトバンクも頑張っているし……みんなまだ、頑張っているぞと(笑)
……続く!
次回は、楽天モバイルのプラチナバンド獲得について会議する予定です。ご期待ください。
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。
構成/中馬幹弘
文/房野麻子