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出版不況でもブックオフが1000億円企業へと成長した理由

2023.05.23

古本店「BOOKOFF」を運営するブックオフグループホールディングスの業績回復が鮮明です。2023年5月期第3四半期の売上高は前期比12.0%増の754億700万円、営業利益率は同51.1%増の24億1,100万円でした。

ブックオフは通期の売上予想を従来の980億円から1010億円へと引き上げました。第3四半期の時点で進捗率は75%を達成しており、1000億円企業への到達は間違いないでしょう。

2016年3月期は営業赤字に陥り、コロナ禍で一時は減収も余儀なくされました。見事な復活を遂げています。

大型複合店の出店を強化

2023年5月期が予想通りに着地すると、営業利益率は2.6%。コロナ禍を迎える直前の2020年3月期の営業利益率は1.7%でした。売上高と利益率を同時に高めています。

なお、ブックオフは2021年に決算月を3月から5月に変更しています。コロナ禍を迎えた2021年5月期は2020年4月から2021年5月までの14か月間の数字です。

決算短信より

ブックオフは2012年ごろまで営業利益率が4%程度あり、堅調に拡大していました。しかし、2014年3月期の売上高792億円を境に縮小へと転じます。このころ、不採算店が目立つようになって収益性が悪化します。

ブックオフの収益改善への取り組みは目を見張る速さでした。不採算店の退店を進めただけでなく、家電やプラモデル、アパレルなどのリユース品を集めた「BOOKOFF SUPER BAZAAR」の出店、アパレル商材を複合させた「BOOKOFF PLUS」へのリニューアルを進めたのです。

また、TSUTAYAを31店舗も運営していましたが、レンタル市場の縮小に伴う収益性の悪化により、運営会社を日本出版販売に譲渡しました。

大改革を行っていた2016年3月期は営業赤字に陥ったものの、2017年3月期からは安定的に利益が出るようになりました。

トレーディングカード・ホビーの伸びが旺盛に

ブックオフの収益構造がどのように変わったのかは、商材別の売上高の変化を見るとよくわかります。

下のグラフは営業赤字だった2016年3月期と2022年5月期の国内既存店(EC含む)商材別売上高。決算月が替わっていますが、12カ月間のものであることは同じです。

この間に売上高は1.3倍に伸びました。しかし、主力の書籍の売上高は250億円程度でほとんど変化していません。すなわち、売上構成比率が落ちているのです。

数字を伸ばしているのは、トレーディングカード・ホビーと貴金属・時計・ブランドバッグです。

有価証券報告書及び決算補足資料より

特にトレーディングカード・ホビーの伸びは著しく、2016年3月期の27億4,200万円から、4.2倍の114億7,600万円まで増加しています。もし、ブックオフの店舗リニューアルの動きが遅く、書籍やDVD、ゲームソフトをメインで扱う業態にこだわっていた場合、売上の伸びに期待できなかったことは明らかです。

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