まずは自分と対話しよう
同調査では、「将来キャリアの展望について、上司や人事と話す機会がない」という課題がキャリア自律できていない職場の特徴として挙がった。キャリア自律を目指す個人は、上司や人事に対してどのように働きかけると良いだろうか。
藤井氏にインタビューを行ったところ、まずは、上司や人事と話す内容のもととなる2つのことを「自分と対話」すると良いそうだ。
1.自分のありたい将来像はどんなものか?
叶ったら嬉しいキャリア展望、ゆずれない生活スタイル、獲得したいスキルや経験など。
2.獲得したい成長機会はどんなものか?
ありたいキャリアを実現するため、どんな仕事や能力開発の機会があると嬉しいか。
「これらは、明確に描くことよりも、自らのキャリアの過去と未来に思いをはせる自分との対話に意味があります」(藤井氏)
実際に、上司や人事と対話する機会に恵まれれば、この自分との対話が活きてくるという。
「自分と向き合って明確になった、1.ありたい将来像と2.獲得したい成長機会を元手に、上司や人事との相談機会を要望してみると良いでしょう。
対話の中で、生活や将来のことを腹を割って話せる場や、能力開発を加味した業務の割り当ての機会、自分の将来キャリアを支援してくれる仲間の存在など、意外と見過ごしていたチャンスが得られるかもしれません。得られなければ、相談相手を社外に広げてみることをおすすめします」(藤井氏)
キャリア自律のためにおすすめの時間の使い方
仕事以外の時間も、キャリア自律のために充てるとすれば、どんなことをすれば有意義だろうか?
「自分のありたい将来像、つまり叶ったら嬉しいキャリア展望、ゆずれない生活スタイル、獲得したいスキルや経験に近づくための能力開発をしたり、他流試合の場に参加することをおすすめします。
具体的には、獲得したいスキルを学べるラーニング・コミュニティへの参加が挙げられます。また会社を辞めずに自分の能力をお試しできる社会人インターンシップなどの多様な副業体験に参加して、自らのキャリアの選択肢を社内外に広げるのも良いでしょう」(藤井氏)
同社には、社会人のインターンシップをはじめ、社外ディスカッションに参加できるサービス「サンカク」もあるそうだ。
キャリア自律を考えるならば、まずは自己対話を行い、職場で積極的に対話をしていくと良さそうだ。
【取材協力】
藤井薫氏
1988年慶応大学理工学部卒業。株式会社リクルートに入社。B-ing、TECH B-ing、 Digital B-ing(現リクナビNEXT)、Works、Tech総研の編集、商品企画を担当。2019年4月より、HR統括編集長。HRエージエントDiv.リサーチ、HR社外広報、政策企 画室調査室、コンテンツマーケティングを兼任。 デジタルハリウッド大学客員教授・千葉大学客員教員、情報経営イノベーション専門職大 学客員教授。著書『働く喜び 未来のかたち』(言視舎)。
取材・文/石原亜香利