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伝統食材を使ったプラントベースフード、パッケージデザインAI、FOODEXで見つけた最新フードテック4選

2023.05.19

2)食品パッケージの新しい取り組み

1.デザインを瞬時に評価し、商品開発のDX推進「パッケージデザインAI」

パッケージデザイン開発やマーケティング・リサーチなどを行う株式会社プラグの「パッケージデザインAI」は、AIが食品パッケージのデザイン設計を支援するシステムだ。

東京大学と共同研究したもので、AIの学習データには1,020万人の消費者調査の結果を用いる。消費者がデザインをどのように評価するかをAIが予測する「評価AI」と、デザイン生成と評価を繰り返し行い1時間で1,000のデザイン案を生み出す「生成AI」で構成されているという。

FOODEX JAPAN 2023では評価AIが展示された。従来の消費者調査よりも手軽に結果が得られることから、多くのマーケターの関心を集め、普及・活用が進んでいる。

すでに活用事例は多くある。例えば広島発のお好み焼き用ソースで知られるオタフクソース株式会社が採用し、新商品とリニューアル品のデザイン開発に活用した。

オタフクソースの事例

経営企画室 広報の根岸由紀氏は革新的なポイントなどについて次のように回答した。

●出展した商材の革新的なポイント

「パッケージデザインAIは、1,020万人分の消費者調査の結果を学習したAIが、開発中の商品デザインを消費者がどのように感じるかを、わずか10秒で算出します。東京大学との共同研究で精度を高めています。

AIが予測することは、消費者がどの程度デザインを好むか、デザインのどの部分が注目されているか、どういうイメージが伝わるかを『美味しそう』『かわいい』『高級感・上質感がある』などをはじめとした19のワードでスコアします。どのデザインが消費者に好まれるか、デザインの良い点・悪い点がわかり、デザインの改良方向性が明確になります。

現代では商品のライフサイクルが短くなり、商品開発にスピード感が求められています。また、原料の高騰により商品の値上げが続く中、商品開発のコストダウンが求められます。パッケージデザインAIはそうした課題を受け、スピードアップとコストダウンを実現し、商品開発のDXを推進します」

●来場者のリアクション

「従来の消費者調査では企画から結果が出るまで1~2か月かかっていたのに対し、パッケージデザインAIはわずか10秒もかからず商品デザインの消費者の評価がわかるという点に驚かれる方が多いです。消費者調査では数十万円~数百万円のコストがかかるのに対し、パッケージデザインAIは1画像1.5万円という圧倒的な低価格で可能である点にも驚かれます。展示会の後、すぐに使い始めてくださる方も複数いました。多くのご来場者の方からは、『すごいですね。これならデザイン案すべてを評価できますね』というお声を多数いただきました」

「一方、『デザインには流行があるから、AIに学習させている1,020万人分のデータは古くならないのか?』という質問もいただきましたが、毎年2回大規模な消費者調査を継続して実施していることをお伝えすると、『トレンドも加味した予測ができるのですね』と納得いただけました」

●「パッケージデザインAI」企業事例

パッケージデザインAIを活用し、パッケージを改良したことで、売上が上がった事例もあるという。

味の素「マッケンチーズ」 発売中のデザイン(左)と開発中のデザイン(右)

例えば、味の素の「マッケンチーズ」ではデザイン開発中にパッケージデザインAIが2回活用され、売り上げが計画比の1.5倍になった。また、カルビーのポテトチップス製品のリニューアル時にパッケージデザインAIが採用され、リニューアルの前後で売り上げが1.3倍に上がった。ある大手食品メーカーの新商品では、計画比4.6倍にもなったという。

●今後の展望

「今年、お客様から要望いただいている新機能をいくつもリリースする予定です。2022年にテキストからAIが画像を生成するサービス『Midjourney』や『Stable Diffusion』などがリリースされ、AIの画像生成の技術は加速しています。当社のパッケージデザインAIにも、これらの画像生成AIを活用する研究開発を進めています。

パッケージデザインAIの最大のメリットは、デザイン開発にかかる時間とコストを大幅に削減し、商品開発のDX化を推進する点です。新機能の追加により、商品開発担当者やデザイナーが、商品開発に重要なコンセプト開発に時間を避け、よりクリエイティブな発想ができるサポートができるサービスとして進化し続けていきたいと考えています」

2.環境配慮のパッケージ素材「生分解性バイオマスプラスチック POLEC®(ポレック)」

株式会社プライムアークは、FOODEX JAPAN 2023で生分解性樹脂原材料から生まれた生分解性食品容器やカトラリー、食品用手袋などの飲食店向け消耗資材や、新たに開発した発泡スチロールの代替品として期待できる「EPLA(発泡ポリ乳酸)サンプル」を展示した。

POLECは、地球環境に配慮した生分解性バイオマスプラスチックで、一定条件下で水と二酸化炭素に分解される環境に優しい素材だ。主な原料にトウモロコシ由来のポリ乳酸を使用しているため、植物が育つ過程で空気中のCO2を吸収している。そのためカーボンニュートラルを実現するという。

事業部長の青木宏整氏に話を聞いた。

●出展した商材の革新的なポイント

「通常のプラスチックは、ごみや廃棄物として出されたものが自然界へ流出した場合、人の手を加えない限り、半永久的に残り続けるという問題があります。 一方、生分解性プラスチックは自然界へ流出した場合でも、一定の条件下で微生物の働きにより分子レベルまで分解され、最終的には『水』と「二酸化炭素』となり自然へ還元されます。

POLECは成形加工、着色がしやく、抗菌性、静電気防止効果などの特徴を持ち、コンポストや土中などの環境で、一定の条件を満たすと、水と炭酸ガスに生分解することができます」

●来場者のリアクション

「FOODEX JAPAN 2023には初めての参加でしたが、日本国内だけでなく世界各国からの参加者も多くいたので、生分解性プラスチックについての正しい知識だけでなく、直接製品に触れてもらう機会になりました。来場者の多くは、加工メーカー、商社、小売、飲食業界の方が多く、やはりSDGsへの注目から生分解性バイオマスプラスチック製品には興味をお持ちの方が多い印象でした。

また、今回は発泡スチロールの代替品として開発した発泡ポリ乳酸(EPLA)への注目が高く、熱心に話を聞いていただけました。その他カトラリーやストロー、カップなども注目度が高く、予想以上に多くの商談につながりました」

●今後の展望

「プラスチックは、昨今の環境破壊の要因として悪者扱いをされています。しかしプラスチックは生活に必要不可欠な樹脂で、完全になくすことは短期間では不可能だと考えられます。そのなかで使用後すぐに使い捨てられるプラスチック製品を生分解性バイオマスプラスチックに置き換えることで、環境破壊の要因を減らせることが可能だと考えます。

また、日本で多い焼却処理においても、従来のプラスチックよりCO2の排出量が大幅に減ることから、今後は適材適所にバイオマスプラスチックと生分解性プラスチックを使い分け、共存させることにより、美しい地球環境を将来にわたって残すことが可能になるでしょう」

4社のインタビューを通じて、新しいフードからパッケージまで、食品分野のさまざまな発展を感じさせてくれた。いずれもこれからの新しい未来を想起させるものばかり。「美味しい」「新しい」「効率的」「環境に優しい」など、ワクワクする未来が待ち受けている。

取材・文/石原亜香利

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