新年度のスタートとともに、今までとガラリと違う仕事に着手するビジネスパーソンは多い。その中には、海外とのビジネスを担当することになったものの、自身の英語力について不安を抱えている人もいるのではないだろうか。
無料語学学習アプリ「Duolingo」を提供するDuolingo,Incはこのほど、月に2回以上、仕事の実務で英語を使っているビジネスパーソン920名を対象に、「ビジネスパーソン英語力実態調査」を実施し、その結果を発表した。
最も使われる技能はリーディング。キャリアアップと共に他技能も必要に
本調査では英語技能を「リーディング(英語で資料やメールを読む等)」「リスニング(英語での会議、接客等)」「スピーキング(英語での会議、プレゼン等)」「ライティング(英語で資料やメールを作成する等)」の4つに分類し、それぞれの使う頻度について質問した。
最も使われているのはリーディングであり、半数以上のビジネスパーソンが週3日以上使うと回答。週5日以上使うビジネスパーソンは約4人に1人となった。
しかし、リスニング、スピーキング、ライティングのその他3技能においても約60%が週1日以上の頻度で使っていると回答し、どの技能もバランスよく伸ばす必要があることがわかった。
勤続年数に関する質問では、40%近くが20年以上の勤続経験があると回答しており、キャリアを積んでいくにつれて、英語を使うシーンが増えることが予想される。
役職が高いほど、英語を使う頻度が高くなる傾向にあり、特にリスニング・スピーキングの2つの技能においては、一般社員のうち27.5%が週3日以上リスニングを、24.2%が週3日以上スピーキングを使うと回答したのに対し、役員クラス・部長クラスではそれぞれ40%を超え、より高いポジションにつくほどオーラルコミュニケーションの機会も増えることがわかった。
半数以上がGoogle翻訳を利用。10代〜30代ではChatGPTの活用も
仕事で英語を使う際、52.3%がGoogle翻訳を活用していると回答。英和辞典が最も人気だった60代以外、全ての年代においてGoogle翻訳が一番人気となった。
活用ツールでは年代間の違いも見られた。40代以上は英和辞典とGoogle翻訳が最も使われているツール1,2位だったのに対し、10代〜30代ではGoogle翻訳の次にChatGPTを利用する人が多い結果に。
DeepLなどの高精度な翻訳ツールや英和辞典を抑えての結果となり、直近のSNS等での盛り上がりも影響しているのか、ChatGPTのようなAIアシスタントが身近な存在になってきているようだ。
ネイティブのような流暢さよりも円滑なコミュニケーションを重視
真面目な国民性がゆえに、「ペラペラでないと恥ずかしい」「完璧じゃないと恥ずかしい」という気持ちを抱きがちな日本人だが、実際に仕事で英語を使っているビジネスパーソンはどう考えているのだろうか。
10項目について(「正しい文法を使うこと」「多くの英単語を知っていること」「読解において意味を取り違えずに理解すること」「発話の際に正確な発音やイントネーションであること」「流暢に話せること」「論理的な文章を構成すること」「相手に意味が伝わるように話すこと」「英語が理解できなかった内容を確認しなおすこと」「相手の行っていることを詳細まで間違いなく聞き取れること」「相手の気持ちや立場に考えた言い方、書き方をすること」「他文化への理解や背景知識を有していること」)、それぞれ重要度を回答してもらった。
もちろん全ての項目において、「重要である」と回答した人が7割近くを占めたが、特に重要視されていたのは「読解において意味を取り違えずに理解すること」、ついで「他文化への理解や背景知識を有していること」、「相手に意味が伝わるように話すこと」だった。
「流暢に話せること」「正しい文法を使うこと」「論理的な文章を構成すること」は上記3つと比べると、重要度がやや下がる結果に。間違いを恐れて発言できないことが多いとされる日本人だが、実際に仕事で英語を使う人はネイティブのように話せることよりも、コミュニケーションの姿勢に重きを置いているようだ。
3人に1人はビジネスで英語を使うようになると想定しておらず!さらに約6割が中級者未満の英語力だったと回答
回答者の半数近くが、社会人になる前の英語圏での在住経験はなく、さらに全体の約3人に1人は仕事で英語を使うようになるとも想定していなかったと回答。
仕事で英語を使うようになるとわかったときの英語レベルに関する質問では、18.2%が「初心者(ほとんど知らない)」、41.4%が初心者以上(簡単な基礎は知っている)中級者(基礎を超えても大丈夫)未満」と回答した。
必ずしも社会人になる前から英語が得意な人や、海外経験がある人だけが、ビジネスで英語を使うことになるわけではないようだ。
さらに、ビジネスで英語を使いはじめたタイミングで多くの人が中級者未満の英語力であることを考えると、常日頃から少しずつ準備しておくことで、実際にチャンスが訪れたときに周りに差をつけられると考えられる。