マンション管理組合の中には理事のなり手が少なく、同じ人が長年続けることでチェック機能が働かず、不正が起きたり管理不全に陥るケースがあります。戸数が少なく、自主管理に頼っているところはなおさらで、よく聞かれるのが総会や議事録にまつわる話です。
総会議事録の作成は義務
そもそも、マンションなどの集合住宅は区分所有法により、通常総会を年1回以上開催しなければならず、その時に話した内容は、総会議事録として記録することが義務付けられています。
議事録を誰が作成するかなどは個々の管理組合規約に盛り込まれているか、総会議長(理事長)が担当するのが通常です。作成された議事録は保管し、区分所有者から閲覧の申し出があれば応じなければなりません。保管期間の定めはないものの、期限なく保管しておくべきものなのです。
義務違反をすれば罰則がある
議事録の作成と保管の重要性はとても高く、その後の話し合いをする上で大きな力を発揮します。たとえば、管理費などの値上げ、建物の問題点や大規模修繕の計画など、これまでどのような話し合いが行われたのか確認する上でも重要や役割を担っています。
議事録に記録されている内容は、作成者以外に、総会に出席していた区分所有者の署名押印をすることも通常は求められます。こうすることで「言った言わない」の争いを減らすことができ、しっかりした議事録があれば、管理が円滑に進むわけです。
ところが、いい加減な体制の管理組合だと、チェック機能が働かず、議事録が簡単なメモ書きだったり未作成のケースがあります。こうなると、仮に誰かがそれを正そうとしても、なかなか前に進みません。
よい方向に向かわない場合の最終手段
なぜなら、話し合いのため総会の招集を求めても、理事はもちろん、ほかの区分所有者も無関心で招集に必要な1/5以上の賛同が得られない可能性があるからです。仮に招集して問題を指摘しても、「次からちゃんとやります」で済まされ、誰も責任を取らず、管理体制も変わらない可能性があります。
これではマンションの将来に期待は持てません。見切りをつけて部屋を売ろうにも、議事録のない、管理のできていないマンションと指摘され、買い叩かれる可能性があります。せめて元凶を作った管理者(理事長)に、罰を与える手段はないものか? と考えたくなりますよね。
そのような時に、利用できるのが裁判所への申立てです。