3D表示ブームが再び?
房野氏:パーツメーカーの展示で特徴的なところはありましたか?
石野氏:パーツメーカーってあまり出展していない。
石川氏:そういうところは打ち合わせブースしか出さない。例えば、サムスンディスプレイは商談ブースしかなくて、商談に来た人たちだけに製品を見せるって感じなので、一般の人が見てどうこうという感じにはなっていないですね。
房野氏:MWCって本来、商談が目的だったんですよね。そこに回帰している感じなんですかね。
石川氏:メディアからすると、以前は新製品発表会がたくさんあったので、そちらがフォーカスされていた。ただ、新製品発表会がなくなってきたので、従来から脈々と続く業界向けの展示会になったな、というところだと思います。この先、一般のメディアは取材しづらくなるところはあると思います。
房野氏:今回のMWCでほかに目立った動きはありましたか?
石野氏:「Nothing Phone (1) 」と似たコンセプトのUnihertz「Luna」じゃないですか?(笑)
房野氏:そうですね……今回、スマートウォッチも全然出展されてなかったし。スマートグラスの新製品は、少し発表がありましたね。
石野氏:OPPOの「OPPO Air Glass 2」は進化していましたね。あと、ZTEが3D表示できるタブレットを展示していました。
「OPPO Air Glass」(左)、「OPPO Air Glass 2」(右)
房野氏:3D表示はファーウェイのブースでも見ましたね。
石野氏:何度目かの3Dブームを中国メーカーが牽引している。ファーウェイにも同じようなものがあって、人間の顔の動きにカメラが追従して、コンテンツを裸眼立体視できるように表示するという方法は共通していました。昔はディスプレイに何かを仕込むという感じでしたが、今回のものはディスプレイに薄いフィルムを1枚貼って、あとは顔を検知してコンテンツが3Dに見えるように映像を変えている。新しいトレンドになっているというか、何度目かの3Dブームになっている感じがある。
房野氏:VRやAR、いわゆるXRはどうでしょう。
石川氏:ドコモが一生懸命やっていたけれど、それが世界的にトレンドかっていうと、ちょっと違うような……
石野氏:OPPO Air Glass 2はARグラスですね。
房野氏:あれはどこが進化したんですか?
石野氏:普通の眼鏡型になった。前モデルは、スカウターみたいな片眼鏡型で外付けするタイプでした。
房野氏:ちゃんとチェックしていないせいもあるんですが、今どきのよくあるスマートグラスにしか見えませんでした。
石野氏:今回のMWCはソニーのブースがなくなったのと、最近、サムスンが新製品を事前に発表するようになっちゃったので、ちょっとなんかなぁってところがありますよね。やっぱりサムスンには戻してもらってMWCで発表してほしいなと。今だったら話題も独占できるでしょうし。
そうだ、VRでいえば、HTCが「VIVE」のブースを出していましたね。行けなかったですけど。
石川氏:HTCは例年通りですね。
房野氏:元モトローラのメンバーが携わっている「Orbic(オルビック)」がCESに続きMWCでもブースを出していましたね。日本でもいよいよ発表会をすると予告していました。
石野氏:「KaiOS」の端末が日本で出るかもしれないですね。
……続く!
次回は、話題のApple銀行について会議する予定です。ご期待ください。
法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。
石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。
石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。
房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。
構成/中馬幹弘
文/房野麻子