日本でも徐々に浸透しつつある「S&P500」は、米国の代表的な株価指数の一つです。
たとえば、つみたてNISAや投資信託を通じて投資している方も多いのではないでしょうか。
そもそも「S&P500」は日本だけでなく、世界中の投資家にとってスタンダードな投資先としても人気が高まっています。実際、S&P500の指数を算出するS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスによると、2008年時点のS&P500に連動する資産は約1兆ドル(約134兆円)でした。
しかし、2021年末時点では7兆ドル(約939兆円)まで増加しており、これは世界の株式市場の時価総額の約半分を占めるほど影響力を増しています。
筆者自身、S&P500には長年投資を続けており、その恩恵を日々実感しています。
しかし、今回はあえてS&P500の意外な弱点を取り上げて資産運用の選択肢を増やすことで、ポートフォリオの参考にして頂ければと思います。
S&P500の意外な弱点とは何か?
あえてS&P500の弱点を挙げるとすれば、浮動株時価総額加重方式を採用しているため、時価総額の大きい企業に偏りやすくなる特徴があります。
例えば、時価総額2兆ドルを超えるアップルとマイクロソフトの2社のみでS&P500の株価指数全体に占める割合は約12%です。つまり米国経済を引っ張る「GAFAM+T」などのテクノロジー企業の影響を受けやすいことを意味します。
実際、米フォーブスによると、2023年のS&P500の上昇要因の約90%がこれらの企業の株価上昇であると指摘されています。
もちろん今後もビッグテック企業が順調に成長していくことで、S&P500の上昇へとつながっていくシナリオが高い確率で想定されますが、その一方、ハイテク企業の成長が鈍化した場合に与える株価指数への影響も大きくなることは考えておくべきでしょう。
もちろんインデックス投資の運用先としてS&P500が今後も有力な投資先であることは間違いありません。しかし、運用資金に余裕がある場合や個別株などに分散投資をしたい場合、S&P500の構成比率を意識することが大切です。
特にハイテク企業は成長株の要素が強いため、分散投資の観点を考慮した場合、景気後退期に強いディフェンシブ銘柄に投資することを検討しても良いでしょう。