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生徒の取り合いが加速する学習塾業界、勝ち組と負け組の違いはどこにある?

2023.05.09

テレビコマーシャルでおなじみの城南予備校が消失

苦戦しているのが、城南コベッツの城南進学研究社。2023年3月期の売上高は前期比4.9%減の59億4,900万円を予想しています。2022年3月期はコロナ禍からの反動増となりましたが、売上高は再び60億円を割り込む見込みです。

■城南進学研究社業績

決算短信より

今期はもともと2億5,200万円の営業利益を見込んでいたものの、2023年3月24日に業績の下方修正を発表。一転して4,000万円の営業赤字へと引き下げました。

城南進学研究社は2019年3月期と比較して、売上高が10億円近く落ち込んでいますが、大幅な減収要因の一つが予備校からの撤退。城南予備校はかつて櫻井翔さんを起用したテレビCMを放映するなど、勢いがありました。今はその影もありません。

城南予備校は2010年1月に「現役合格保証コース」を開始しました。大学入試の結果に満足できなかった場合は学費を全額免除するというもの。個別指導の城南コベッツで先行導入し、中学生の入塾者数を2倍にするなどの実績がありました。主力の予備校にもそれを取り入れたのです。

この制度は一時的に話題になったものの、業界の常識を塗り替えるほどのものにはなりませんでした。伸びきらなかった理由は3つあると考えられます。

1つは合格保証が予備校の実績にはならないこと。もう1つは受験生と予備校側のすり合わせがものをいうこと。そして授業料免除のハードルが高いことです。

実績を置き去りにする合格保証制度

予備校は「東京大学〇〇人合格」という実績が集客装置になります。そのため、事業展開が難関校への合格者の創出に向けられます。難関校突破の実績がシステム化されて、受験の難易度が下がる学校へと敷衍されます。それが繰り返されて、学習塾の経営ノウハウを鍛えます。

しかし、合格保証は「合格」が事業推進のゴールとなるため、難関校突破の実績を作ろうという組織のインセンティブが失われてしまいます。

合格保証は志望校面談で決めた学校を3つ以上受験することが求められますが、これだと受験生は滑り止めの合格を受け入れなければならないことになります。また、志望校面談でどの学校にするのかを決める生徒(親)と予備校のすり合わせが重要な項目となり、顧客満足度を上げることができません。

また、授業料免除の条件として、授業の8割以上の出席や、各種課題の提出、講習指定講座の受講などが求められていました。難関校の受験生はともかく、大部分の生徒には高すぎるハードルでした。

城南予備校の合格保証はニーズとのずれが生じていましたが、城南予備校はそこにこだわり続けました。やがて稼ぎ頭だった予備校部門は減収が続き、撤退となったのです。

TOMASの城南予備校の違いは、顧客満足度を上げるための事業構築ができたかどうかに収れんするでしょう。TOMASは独自のポジションを確立し、講師の質向上に取り組んで実績を残しました。城南予備校は見栄えをよくした集客装置にこだわり、実績や顧客満足度が置き去りにされてしまったのです。

取材・文/不破 聡

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