DIME MAGAZINE
特異なポジションを獲得したTOMASの強み
リソー教育は、学習塾のTOMASや家庭教師派遣の名門会などを運営している会社です。売上高全体のおよそ半分をTOMASが占めています。
■リソー教育業績
※決算短信より
コロナ禍の2021年3月期は減収となったものの、2024年3月期の売上高は前期比8.0%増の340億円を見込んでおり、3期連続の増収となる予想を出しています。売上が同規模の早稲田アカデミーの営業利益率は6.4%で、リソー教育は7.6%。利益面でも競合を一歩リードしています。
リソー教育の最大の特徴は、TOMASにおいて1対1の進学個別指導塾というポジションを確立したことでしょう。
学習塾は進学型と補習型に大別されます。進学型は難関校突破などを目的としており、受験対策に特化したものを指します。受験日から逆算してカリキュラムが組まれているため、やるべきことが明確であり、積み上げた努力の結果が偏差値や合否判定などの数字に出やすいという特徴があります。
補習型は学校で習う内容の理解度を高めることを目的としています。基礎学力向上に重きを置いており、学校のテストや成績の底上げを図ることに期待ができます。学校で習うこと以上の指導は基本的に行いません。
好待遇かつ選考の質を上げて優秀な講師を囲い込み
これまで、進学型が集団指導、補習型が個別指導というのが常識でした。その理由として、ハイレベルな教師が必要とされることがあります。東進ハイスクールの林修先生が有名ですが、進学型の塾や予備校にはその道に精通したプロが必要なのです。
しかし、TOMASは進学型の個別指導という道を切り開きました。
個人に合わせたカリキュラムを組み、希望する学校を合格させるというのです。その分、顧客単価が高くできるという特徴があります。
進学個別指導における重要なポイントが、指導者の確保。TOMASの大学生・大学院生の授業時給は最大で3,200円。最低でも1,600円に設定されています。個別指導で有名な明光義塾はコマ給（90分の1授業）で1,710円。TOMASは講師を好待遇で迎え入れています。
講師のアルバイトには、業界では珍しく二次選考があり、高いハードルが設けられています。TOMASは好待遇かつ選考の精度を上げて質の高い指導者を確保し、合格実績を上げる取り組みを行っています。
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