家に帰って来て1人になれる時間が一番ホッとする、という方は人間関係に疲れを感じているのかもしれません。
人付き合いで一度も悩んだことがないという人はほぼいないほど、人間関係は現代人の大きな悩みの1つではないでしょうか。特に、さまざまな人たちとの付き合いが発生する職場の人間関係では、大きなストレスを抱えてしまっている人も多いようです。
今回は、人間関係に疲れやすい人の特徴とその裏に隠されている心理、そして人間関係のしんどさから気持ちを切り替える方法をお伝えします。
人間関係に疲れやすい人の特徴、隠された心理とは
まずは、人間関係に疲れやすい人の特徴に触れ、その特徴を持つようになった心理について解説していきます。
1.周囲に気を遣いすぎている……「自分は他人よりも劣っている」
周囲に気を遣いすぎている人は、自分に自信がありません。なので、自分の意見を周囲に伝えることができないなど自分の行動を自ら抑え込み、人間関係に疲れていきます。
自分自身は価値のある存在だと認めていることを指す、自己肯定感が低いことに加え、「自己効力感」が低いのもこのタイプの特徴です。「自己効力感」とは、自分は目標を達成できる力を持っていると信じることです。「自己効力感」が高い人はさまざまなものにチャレンジしていきます。自分の意見も積極的に伝えていきます。
しかし、「自己効力感」が低い人は、チャレンジする前から「どうせ失敗する」と思い込み、チャレンジすらしません。意見を言いたい、チャレンジしたいというのは、自分の欲求です。その自分の欲求を我慢している状態では、その我慢させられている環境(人間関係)に疲れてしまうのも仕方ないでしょう。
2.NOが言えない……「誰からも嫌われたくない」
このタイプは周囲から頼りにされていることが多いです。本人も必要とされていることを感じているはずです。
しかし、頼りにされていることに無理にでも応えようとしてしまっている状態なので、その無理によって人間関係に疲れを感じているのです。
無理をしてまでも周囲の期待に応えようとする人は、「誰からも嫌われたくない」「一人になりたくない」という気持ちを抱えています。
誰からも嫌われたくない理由は、自分の価値を他人に委ねてしまっているからです。「他人から受け入れてもられないと自分は価値がない」と思い込んでしまっているのです。自己肯定感が低いのもこのタイプの特徴です。
3.仲良くない人の動向まで気になってしまう……「陰口や悪口でストレスを解消したい」
周囲で数名が楽しく談笑している。そんな場面を見て、「もしかして私の悪口かも」と思ってしまう人も、人間関係で疲れやすいタイプです。このタイプは、自分に関係のないことでも、周囲の動向が気になって仕方ありません。そして、「もしかして私の悪口を言っているのかも」といった、ネガティブな推測をしがちです。
それには、自分の中にも陰口や悪口でストレスを解消したいという気持ちが関係しています。自分がやってしまいがちな行為だからこそ、他人もそうだと思い込んでしまっている状態です。
陰口や悪口をよく口にするタイプは、劣等感の強い人が多いです。弱みを握られたくない思いから、別の人の弱みで自分の弱みを隠そうとしています。弱みを見せたくないがゆえに人付き合いでは常に気を張っている状態ですので、人間関係に疲れてしまうのです。
人間関係に疲れたときに気持ちを切り替える方法3選
人間関係に疲れたものの、転職など簡単にできるものではありません。ここではそんな気持ちを軽くする方法をご紹介します。
1.他人からの評価と自分の価値を切り離す
特徴とその心理のところで触れましたが、他人からの評価が自分の価値だという思い込みを持っている人は、それをなくすことが大切です。
結論からいうと、他人からの評価と自分の価値は、全く無関係なものなのです。
自分の価値を認識するためには、周囲が認めてくれそうなことではなく、本当に自分がやりたいことを考えてみることです。ある仕事について意見を述べたいと考えたとき、周囲と同じ意見でなくても伝えてみましょう。万が一、それが周囲から認められなかったとしても、意見が通らなかったことは1つの出来事でしかなく、あなたの価値とは結びつきません。これを忘れないでください。
意見を伝えたことで周囲からの価値が下がったというのも思い込みです。あなたが勝手に悪い方向に想像しているだけだと覚えておいてください。
2.自分の価値観を知る
気を遣いすぎて自分の行動を我慢して人間関係に疲れている人に有効なのが、自分の価値観を知ることです。
前提として、価値観は人それぞれです。それをわかったうえで自分の価値観を知るには、「〇〇そう」「〇〇かもしれない」と思ったことを振り返ってみましょう。
例えば、休憩時間に周囲の会話に参加せずに仕事をしている同僚を見て、「忙しそうだから声を掛けるのはやめておこう」と思ったとします。それがあなたの価値観からの想像なのです。同僚は休憩時間に入ったこどに気付かずに仕事をしているだけかもしれませんし、周囲の会話に参加したくないから仕事をしているふりをしているのかもしれません。
本当のところはその人しかわからないのにも関わらず、人は自分の価値観に当てはめて相手を想像します。「忙しそうだから声を掛けるのはやめておこう」という想像を自分の価値観だと認識すると、「声を掛けない」というあなたの行動は気に遣いすぎている状態だと気付くことができます。
3.嫌われることを受け入れる
2.で触れたように、価値観は人それぞれですが、まったく同じ価値観の人はいないものの、似たような価値観を持つ人は存在しています。その人のことは「気が合う人」と認識しているでしょう。
その一方で、お互いの価値観が相容れないものであり、「気が合わない」と思う人もいるでしょう。価値観は人それぞれなのでそんな人がいるのは当たり前であり、あなたが思っている「気が合わない」という気持ちを相手も持っていることも多くあります。
そんな「気が合わない」と思う人にまで好かれる必要はあるでしょうか。気が合わないのであれば、仕事関係の人と割り切って付き合うほうが心の健康を保てます。
全員に好かれないといけないというのも「嫌われることはダメなこと」というあなたの価値観からくる思い込みです。1.と同様に、他人からの評価(ここでは好き、嫌いという感情)と自分の価値を切り離して考えてみてください。
文・構成/藤野綾子