店員からの「これはクレカですか?」
次に、筆者自身の体験談をここで記述させていただきたい。
実店舗でのっぺらぼうクレカを使う際、「これはクレカです」や「クレカ決済でお願いします」と言わなければ店員に伝わらないことがたまにある。
つまり、番号がないせいで「このカードはクレカだ」と表す要素は国際ブランドのロゴしかない……というわけだ。それを手で隠していたら、このカードが一体何なのか店員には分からない。ロゴを見せたとしても、「これはクレカですか?」と言われてしまうことがあった。
もっとも、事前に「クレカ決済でお願いします」と告げる行為はマナーでもある。それを怠らなければ済む話で、「のっぺらぼうクレカは利便性に欠ける」ということの証明にはならない要素だ。
そして、筆者自身はのっぺらぼうカードの普及は待ったなしだと考えるし、特に海外旅行ではのっぺらぼうカードのほうが安心して使えるという確信すら持っている。
のっぺらぼうクレカの「市民権」
ネットインフラの普及は、クレカの在り方を大きく変えた。
カードに記載されている番号と所有者の名前、カードの有効期限をプラットフォームに入力すれば利用できるネットショッピングの仕組みは、利便性と同時にクレカの不正利用をも促してしまった。
それを阻止する手段として「3Dセキュア」が導入されたが、もっと初歩的な対策として「カードに記載されている情報自体をなくそう」という取り組みがカード発行各社で進められている最中だ。
たとえば、2023年4月11日に会員募集を開始したバローフィナンシャルサービスの『Lu Vit クレジットカード』は、番号ありと番号なしを会員が選択できるようになっている。用途やシチュエーションに合わせてどちらかを選べるということらしいが、筆者としてはやはりナンバーレスを勧めたい。
理性的に考えたら、のっぺらぼうカードの普及と「市民権の確立」は同時並行で進むはず。たとえば、クレカのタッチ決済もほんの1年ほど前までは対応店舗の店員ですらもそれを知らなかった。
「この端末にクレカを差し込んでください」と店員が言った直後にタッチ決済をすると、大いに驚かれたものだ。しかし、今やタッチ決済自体の認識が進んで「店員がタッチ決済という手段を知らない」という場面には殆ど出くわさなくなった。
上述の高級ホテルやガソリンスタンドでの問題も、時が経てば解消に向かうと考えてもいいだろう。それらを見越した時、番号の書かれたカードよりもナンバーレスカードを選んだほうが、より安全にクレカを利用できるのではないか。
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【参考】
プロミスVisaカード
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000311.000032321.html
Lu Vit クレジットカード
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000119795.html
取材・文/澤田真一