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ネット銀行と取引している企業が多い業界TOP3、3位サービス業、2位不動産業、1位は?

2023.04.25

創業・設立から「5年未満」の企業におけるネット銀行取引割合が43.6%でトップ

『取引している』企業を企業年齢別[1]にみると、スタートアップ企業などを含む「5年未満」が43.6%と4割超にのぼり、最高となった。

以下、「5年以上10年未満」(38.8%)、「10年以上20年未満」(36.4%)が3割台後半で続いた。

「20年以上40年未満」(30.6%)も全体を上回った一方、40年以上の企業は全体を下回る結果となった。「100年以上」は「70年以上100年未満」を若干上回ったが、総じてみると創業・設立年数が経つほど割合が低くなる傾向にある。

その一因として、ネット銀行口座は比較的簡単でスピーディーに開設ができるほか、創業初期の企業でも融資を受けられるところもあることがあげられる。

ほかにも、ICT(情報通信技術)インフラ整備の推進が進んでいる時代に設立された企業ほどICTへの抵抗感が比較的少なく、インターネット上でのサービスのみを提供するネット銀行との取引割合が比較的高い1つの要因と考えられる。

社長年齢が低いほどネット銀行取引割合が高い傾向に

『取引している』企業を社長年齢別にみると、「39歳以下」が30.7%でトップ、「40歳代」が30.2%で続いた。また、「50歳代」(29.9%)も全体を上回った。

他方、社長が60歳代以上の企業における取引割合は全体を下回る結果となった。総じてみると、社長の年齢が低い企業ほどネット銀行との取引割合が高い傾向になった。

若い世代は比較的ICTに抵抗感が少ないことが一因だと考えられる。6. 金融機関からの融資姿勢が積極的でない業種ほどネット銀行利用割合が高まる

ネット銀行は融資手続きの煩雑さが比較的少なく、審査申込から借入までの期間が短い点のほか、既述したように創業初期や赤字の企業でも融資を受けられるところもあるなど、融資面でのメリットがあげられる。

そこで、TDB景気動向調査の結果から算出した企業から見た金融機関の融資姿勢を示す「金融機関の融資姿勢DI」(0~100で50を下回れば消極的、上回れば積極的)とネット銀行との取引割合の関係を主な業種別にみると、金融機関の融資姿勢DIが1ポイント上昇するとネット銀行との取引割合が0.8ポイント低下するという傾向が表れていた。

言い換えれば、金融機関からの融資を比較的受けにくいと感じている業種ほど、融資面でのメリットがみられるネット銀行と取引する傾向にある。

本調査の結果、ネット銀行と取引している企業は3割近くとなった。零細企業の取引割合が高く、企業規模が小さいほど取引の割合が高まっている。取引している企業の割合を業界別にみると、『小売』は約4割で最大となり、『不動産』、『サービス』、『農・林・水産』が3割台前半で続いた。

さらに主な業種では、「医薬品・日用雑貨品小売」、「飲食店」では4割超の企業がネット銀行と取引しており、とりわけ個人消費関連の業種で『取引している』割合が高い傾向となっている。一方で、約6割の企業はネット銀行と取引していない結果となった。

ネット銀行はコスト面での優位性のほか、口座開設などは来店せずにインターネット上で完結できる高い利便性など、企業にとってメリットは大きいと言える。

一方で、融資の限度額が比較的低い点や、国や地方自治体の補助金等を受け取れない場合があるなど、実店舗を持っているメガバンクや地方銀行に比べたデメリットもある。

物価高騰によるコスト負担増が継続するなか、低コストが強みであるネット銀行を利用する企業はますます増加するとみられる。また、今後は金融取引における高い利便性やスピード感を求める動きが加速するほか、着々と新たなニーズも出てくると考えられる。

金融機関には多様化する利用者ニーズに対応するための取り組みが求められるとともに、こうした変化に向け政府による金融業に対する規制緩和も必要となってくるであろう。

<調査概要>
調査期間:2023年2月14日~2月28日(インターネット調査)
調査対象:調査対象は全国2万7,607社で、有効回答企業数は1万203社(回答率37.0%)
調査機関:帝国データバンク

出典元:帝国データバンク

構成/こじへい

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