『ハト派』とは、具体的に何を指す言葉なのでしょうか?由来や『タカ』派との違い、どのような場面で使われているのか紹介します。金融関係で使われる場合の意味や把握しておきたい投資・金融界隈の言葉についても確認しましょう。
「ハト派」とは
『派』と付いていることから、何となく主義や傾向によって分かれた集団を表していることは想像できても、何を指しているのか分からない人もいるのではないでしょうか?そこで『ハト派』とは何を指す言葉なのか、『タカ派』との違いと併せて見ていきましょう。
穏健派・慎重派を指す言葉
ハト派は、『穏健派』『慎重派』を指す言葉です。基本的には、国際紛争などの情勢に対して、平和的な解決手段を模索する派閥などを指します。
実際には、この派閥はハト派と明確に分かれているわけではなく、派閥内でもハト派とそうでない人がいます。外交に関してのみハト派というような人もいるでしょう。
ハト派という言葉の由来は、鳥のハトです。ハトは平和の象徴とされることや、穏やかなイメージがあることから使われるようになったといわれています。
タカ派について
タカ派は、『対外強硬論者』『主戦派』を指す言葉です。ハト派とは対照的で、国際紛争などの情勢に対して、武力行使も辞さない構えを示す派閥などです。
タカ派という言葉は、もともとはアメリカで使われ始めた言葉で、鋭いくちばしや爪を持ち、ほかの動物を捕食するタカの力強いイメージからきています。
アメリカのトーマス・ジェファソン元大統領が、対立していた連邦派に対して『戦争のタカ』とやゆしたことが由来とされています。
「ハト派」「タカ派」使われる場面
ハト派とタカ派は、どのような場面で使われている言葉なのでしょうか?場面ごとにどのような意味で使われているのかについても確認しましょう。
外交・政治の場面
もともとハト派とタカ派が使われていたのは、外交や政治の場面です。主に対外的な姿勢の違いを示すときに用いられています。
外交や政治の場において、基本的に相手と協調しながら、話し合いで平和的な解決策を見い出す穏健な姿勢を示すのがハト派です。相手と妥協せず、武力行使をしてでも主張を貫く強硬な姿勢を示すのがタカ派です。
なお、ハト派は保守・右派・右翼、タカ派はリベラル・左派・左翼といわれることもしばしばあります。
投資・金融など経済関係
ハト派とタカ派は、投資や金融など経済の分野でも使われている言葉です。外交や政治の場面で使われるときと同様に、ハト派は基本的に穏健派・慎重派を指します。
景気に対して慎重な姿勢を示すのがハト派で、物価上昇に寛容であり、金融引き締めに消極的です。一方、タカ派は景気に対して強気な姿勢を示します。物価安定を重視し、金融引き締めに前向きです。
このように志向や政策が大きく異なるため、経済面でハト派とタカ派のどちらの意見が通りやすい状況にあるのかによって、金融政策などに違いが出てきます。
知っておきたい投資・金融界隈の言葉
ニュースなどで耳にしたことがある投資や金融界隈の専門用語の中には、意味をよく理解していないものもあるのではないでしょうか?知っておきたい基本的な用語の意味を紹介するので、知識を深めましょう。
金融政策の一つ「利上げ」
『利上げ』は、中央銀行が行う金融政策の一つで、政策金利を引き上げることです。景気が上昇すると、市場の過熱が起こりやすくなり、物価の上昇につながる恐れがあります。物価上昇で経済動向が不安定になることを防ぐために利上げを行うのです。
利上げをすると個人や企業が借り入れしにくくなり、消費が抑えられ景気が落ち着きます。逆に景気が悪いときは、借り入れしやすいように金利を下げ、消費を増やして景気を活発にします。
利上げは市場の過熱を抑制する効果的な方法です。しかし、利上げをしすぎると景気の低迷につながることもあるため、いつ、どの程度の利上げをするのか慎重に検討されています。
間違いやすい「円高」「円安」
『円高』と『円安』は、日本円の外貨に対する相対的な価値を示しています。円1単位で交換できる外国通貨の単位数が多いのが円高です。円1単位で交換できる外国通貨の単位数が少ないのが円安です。
例えば、1ドル=125円(1円=約0.0083ドル)から1ドル=100円(1円=0.01ドル)になったら、円高です。逆に1ドル100円から1ドル125円になったときは円安になります。
実際にアメリカで買い物するときを考えると分かりやすいでしょう。1,000円をドルに換算すると、1ドル=100円のときは10ドル分の買い物ができますが、1ドル=125円のときは約8ドル分の買い物しかできません。1ドル=100円のときの方がより多くのドルを得られるので、円高となります。
おさらいしておこう「インフレ」「デフレ」
『インフレ(インフレーション)』は、商品の売れ行きが好調なことから物価が上がり、結果的にお金の値打ちが下がる現象のことです。例えば、5万円のバッグを買うために5万円ためても、物価が上昇し7万円になってしまったら、ためた5万円では購入できません。これが、お金の値打ちが下がるということです。
『デフレ(デフレーション)』は、賃金の値上げが間に合わなかったことなどから消費が低迷し、結果的に物価が下がっていく現象を指します。消費が低迷すると、企業は買ってもらうために値下げをし、結果的に物価がどんどん下がっていきます。利益が減り、倒産やリストラをせざるを得ない企業が増えるのです。
構成/編集部