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法律に基づく夫婦の「4つの義務」とは何を指す?

2023.05.07

3. 夫婦の義務(3)|扶助義務

夫婦は互いに、相手を扶助する義務を負います(民法752条)。これを「扶助義務」といいます。

「扶助」とは、相手を経済的に支えることです。扶助義務は「扶養義務」と言い換えられることもあります。

婚姻費用の分担義務(民法760条)も、夫婦間の扶助義務の一環です。

扶助義務には、「生活保持義務」と「生活扶助義務」の2種類があると解されています。

①生活保持義務

相手に対して、自分と同等の生活を保障する義務

②生活扶助義務

経済的に余裕がある場合に限り、相手に対して最低限の経済的援助を行う義務

夫婦間の扶助義務は、生活保持義務であると解されています。したがって配偶者に対しては、自分と同等の生活を保障する程度の経済的援助を行わなければなりません。

4. 夫婦の義務(4)|貞操義務

夫婦は互いに、相手以外の者と性的関係を持ってはなりません。これを「貞操義務」といいます。法律上の明文はないものの、不貞行為が法定離婚事由とされているため(民法770条1項1号)、夫婦は貞操義務を負うものと考えられています。

なお、異性との性的接触だけでなく、同性との性的接触も貞操義務違反に当たり得ると解するのが一般的です。

5. 夫婦の義務に違反した場合の効果

夫婦が相手に対して負う義務に違反した場合、法律上は以下の効果が発生します。

①慰謝料などを請求できる
②離婚を請求できる

5-1. 慰謝料などを請求できる

配偶者の義務違反によって精神的損害を受けた場合、その大きさに対応する慰謝料を請求できます(民法709条)。

慰謝料の金額は具体的な事情によりますが、離婚に至る場合では100万円から300万円程度が認められるケースが多いです。

また、配偶者が扶助義務に違反し、生活費などの費用を適切に負担しなかった場合には、婚姻費用の支払いを請求できます。

5-2. 離婚を請求できる

夫婦の義務に違反する行為は、以下の法定離婚事由に当たることがあります。


・貞操義務に違反し、配偶者以外の者と性的関係を持った場合
→不貞行為(民法770条1項1号)

・同居義務に違反し、配偶者に無断で別居した場合
・協力義務に違反し、育児や家事などに関する協力を怠った場合
・扶助義務に違反し、生活費などを収入等に応じて負担しなかった場合
→悪意の遺棄(同項2号)、婚姻を継続し難い重大な事由(同項5号)


法定離婚事由がある場合には、離婚訴訟を通じて、配偶者に離婚を請求できます。この場合、配偶者が離婚を拒否しても、裁判所の判決によって強制的に離婚することが可能です。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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