公立学校の教員には、労働時間に応じた残業代が支払われないことになっています。
しかし、残業代を支給しない旨を定めた「給特法」は大いに問題視されており、各所で法改正が議論されている状況です。今回は公立学校の教員に残業代が支払われない理由や、改正が議論される「給特法」の問題点などをまとめました。
1. 公立学校の教員は残業代なし、私立学校の教員は残業代あり
公立学校の教員には「給特法※」が適用され、労働時間に応じた残業代が支払われないことになっています。
※正式名称:公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法
これに対して、私立学校の教員には給特法が適用されず、会社員などと同様に労働基準法が適用されます。したがって、私立学校の教員に対しては、労働時間に応じた残業代が支払われます。
一般論として、公立学校と私立学校の間では、教員の業務内容に大きな差があるわけではありません。
しかし、公立学校の教員は残業代なし、私立学校の教員は残業代ありと待遇が分かれているのが現状です。
2. 「残業代なし」を定める「給特法」
公立学校の教員(=教育職員)に対しては、給特法に基づき、労働時間に応じた残業代の代わりに「教職調整額」が支給されます(給特法3条1項)。
教育調整額は給料月額の4%で、実際の労働時間にかかわらず一定です。
残業代に代えて教職調整額が支給される理由は、教員の職務は自発性・創造性に期待する面が大きく、勤務時間の長短によって機械的に評価することは不適切であるためと説明されています。