あなたが「感じがいい」と思うのは、どんな人でしょうか?
いつも率先して元気に挨拶をしてくれる職場の部下。相づちのバリエーションが豊富で、聞き上手な同僚。仕事のプロセスから正当な評価をしてくれる上司は感じがいいと思うのではないでしょうか?
一方で、仕事の指示が曖昧なのに、突然「まだ?」と自分の都合で催促してくる上司や、ネガティブワードや余計なひと言が多い部下、人が話している最中に何かと自分の話をかぶせてくるような同僚は、決して感じはよくないと思います。
こうしたちょっとした場面で始まる「感じがいい・悪い」の印象づけは、ビジネスシーンにおいても大きな影響を及ぼします。組織の中で働いている以上、人との関わりをなくすことはできません。せっかく縁があって知り合ったわけですから、気持ちよく付き合える関係を築き上げたいものです。
本記事では50万部を突破した『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』シリーズの著者で産業カウンセラーの大野萌子さんの著書『「感じがいい人」の行動図鑑』の一部を抜粋し、再構成して気持ちよく働くためのヒントをお届けします!
「どちらさまでしょうか」→「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
【日常会話編12】でもお伝えしましたが、言葉の中には目上の人に使うにはそぐわないものが存在します。言葉にどんな意味が含まれているかを正しく理解していることで、間違った言葉遣いを避けることができます。「了解です」「ご苦労さまです」のほかにも、相手を評価する意味を持つ「なるほどですね」、謙譲語を相手に使ってしまう「どちらにいたしますか?」など、間違い敬語に気づいていない人も多いので、一度、確認することをおすすめします。例えば「なるほどですね」は「おっしゃるとおりです」、「どちらにいたしますか?」は「どちらになさいますか?」が正しい表現です。
ほかにも、上から目線だと思われる言葉もあります。見知らぬ人が上司を訪ねてきた際「どちらさまでしょうか?」と名前を聞いたことはありませんか? 「どちら」は物に対して使うことが多い言葉、「さま」をつけたからといって丁寧な言葉にはなりません。正しい聞き方は「お名前を伺ってもよろしいでしょうか」です。その際には、まず自分から「○○部の△△と申します」と名乗ってから聞くと、相手の安心感につながるだけでなく、誠実さが伝わります。
これらの言葉は多くの場合、何の気なしに使ってしまうことが多いため、人によっては、こうした言葉を投げかけられることで、違和感を覚えたり、気分を害することもあります。正しい言葉遣いは、ビジネスの基本。徹底することで、相手を敬う気持ちを表わすことができるのです。
《POINT》
上から目線の言葉になっていないか注意して。目上でなくても、控えるのがベター
☆ ☆ ☆
職場、取引先、親族、近所付き合いなど、様々な人と関わる中で「感じがいい人」は、絶妙なコミュニケーションの術を無意識のうちに、あるいは意識的に身につけています。そんな「感じがいい人」がさりげなくやっている行動や言動の事例を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
ちょっとした話し方や言葉遣い、意識の向け方を変えるだけで、相手に与える印象は必ず好転します。「感じがいい人」の行動図鑑』の中で紹介している65のアクションをヒントに仕事も、人間関係も、うまくいく幸せ習慣を手に入れてください。
著/大野萌子
著者/大野萌子(おおの・もえこ)さん
公認心理師。産業カウンセラー。2級キャリアコンサルティング技能士。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ(R)資格認定機関)代表理事。著書の『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』はシリーズ累計50万部を突破。