新年度を迎えて早3週間、入学、就職、または転職などで新しい環境に身を置くようになった方も多いことでしょう。その環境に馴染めるように努力している中、もうすぐゴールデンウィークがやってきます。ゴールデンウィークはホッと一息つけるタイミングではありますが、連休明けには気分の落ち込みなどの症状が出る「5月病」に注意が必要です。今回は、その「5月病」の原因や症状、対処法などをご紹介していきます。
「5月病」とは
まず、はじめに「5月病」は“病”という言葉が付いていますが、医学的な病名ではありません。病院を受診すると、抑うつ状態、症状が重い場合には、「うつ病」や、「適応障害」と診断されることがあります。
抑うつ状態や、「うつ病」、「適応障害」の症状は、主に下記のような症状があります。
【身体症状】
・眠れない(不眠)
・食欲が湧かない、または過度に食べてしまう(食欲不振・過多)
【心の症状】
・やる気がでない、今までできていたことができなくなった、大好きだったことに興味がなくなった(意欲低下・注意力の低下)
・常に不安な気持ちがある(気分の落ち込み・不安)
上記の症状はあくまでも主なものであり、人によって症状は様々です。やる気が出ないことで仕事を遅刻を繰り返すようになったり、休みがちになったり、プライベートでは人と会うことが億劫になることもあります。
「5月病」の原因は?
原因として考えられるのは、新生活に対するストレスです。新生活という新しい環境によって人は少なからずストレスを抱えます。
その環境により早く順応しようとする頑張りのほか、希望のところへの異動や昇進などの嬉しいことも体や心にはストレスとなります。ストレスはマイナスのイメージが強いですが、ポジティブな環境への変化の場合にも心身には負担がかかっているのです。
より早く環境に馴染もうと努力する真面目なタイプがかかりやすいと言われていますが、前述したようにポジティブな変化もストレスとなり、5月病の発症につながってしまうので、一概には言えません。同じ新生活という環境であっても、本人の物事の捉え方が楽観的や悲観的といった性質に加え、経験や価値観によっても変わってきます。
「5月病」の対処法4つ
新しい環境に適応して本来の自分を取り戻すまでに要する期間は、3~6か月と言われています。ここでは自分にかかっているストレス状態から脱する方法をお伝えします。
1.自分がストレス状態にあることを認識する
まず、新しい環境ではストレスは誰にでも必ずあることを理解して、自分のストレス状態を認識することです。「今は頑張るときだから」と気を張りつめている状態では自分が疲れているかどうかに気づきにくくなります。ちょっと疲れているかもしれないと自認することができれば、自ら頑張り過ぎない、または休むという選択ができるようになります。
2.悩みを親しい人に打ち明ける、または紙に書き出す
自分がストレスを感じていることがわかったら、次はそのストレスの原因を親しい人に打ち明けてみてください。親しい人に悩みを聞いてもらうことで、その悩みを客観視することができ、解決への糸口が見つかる可能性があります。解決方法がないような問題の場合も、悩みを共有することで気持ちを楽にすることができます。
もし、話せる相手がいないという人は、その悩みの内容を紙に書いてみてください。人に打ち明ける場合と同様に物事を客観視することができ、新しい視点が発見できる可能性があります。
3.ストレスになる予定の後に趣味の時間を作る
ストレスの解消方法として、悩みを考えないように別のことに打ち込むことも効果が期待できます。新生活の悩みなどでは、「もし上司に怒られたら」「この仕事がうまくできなかったら」など、これから先のことを想像しての不安(予期不安)の場合が多くあります。
その不安を解消するためには、ストレスになる予定(会社に行くなど)の後に自分が楽しいと思える趣味の時間を持つようにしてみてください。そうすることで「この仕事が終われば、楽しいことが待っている」と予期不安を軽減することができます。
4.生活のリズムを整える
ストレス状態にあるとき、体の自律神経は乱れてしまっています。自律神経には、活動的になったときに活発になる交感神経と、休息時に活発になる副交感神経があり、交感神経と副交感神経が交互にバランスよく働くことで心身の健康を保っているのです。
自律神経のバランスを整えるためには、生活リズムを整えることが大切です。まず、睡眠負債をためずに、睡眠時間は7時間前後を目安に確保してください。また、平日の朝起きて夜眠るという一定のリズムを休日も同じように行ってください。
他にも、朝昼晩と3食の食事時間を確保したり、朝日を浴びて体内時計をリセットすることも生活リズムを整えるために有効です。
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上記を行ってもまったく改善しない、睡眠や食事をとることができないなどの症状が続く場合には、医療機関などを受診されることをおすすめします。
文・構成/藤野綾子