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強さの秘訣は経済力にあり!日本の近代革命を牽引した薩摩藩と長州藩の懐事情

2023.04.23

薩摩・長州・グラバー 最強の三角貿易

1860年代に入ると、薩摩・長州で倒幕の機運が高まっていきます。当然、幕府との戦いに備えて近代兵器で武装する動きが強まり、薩摩は製鉄所で兵器を製造します。

一方の長州はというと、薩摩のような製鉄所を持っておらず、武器に関しては薩摩より遅れていました。そこでキーマンとなったのが、長崎のグラバー邸で有名な武器商人トーマス・ブレーク・グラバーです。グラバーは薩摩や長州などの諸藩を相手に取引をしていました。グラバーは当時アヘンの密貿易などをしていた悪名高きマセソン商会の長崎における代理店(グラバー商会)でしたが、日本に対しては誠実に接していたようです。事実、グラバーは坂本龍馬や岩崎弥太郎(三菱財閥)に欧州の会社経営のノウハウを惜しみなく与えており、イギリス本国の指示をほとんど受けず独自に行動していました。こうしてグラバーは戊辰戦争(1868年)が勃発する前に、幕府との取引をやめて薩摩・長州に武器を売り、革命を支援する側となりました。

グラバーによって最新鋭の武器の調達ルートを確保し、長州は武器購入費用を作るために食料が不足していた薩摩に米を売ります。薩摩は製鉄所や紡績工場が成功したものの、穀物生産が後回しになっており、両藩の強みと弱みを補完する理想的な関係となったのです。

こうして薩摩・長州・グラバーによる最強の三角関係が誕生します。

ちなみに仕掛け人はグラバーと坂本龍馬です。

またグラバーの会社であるグラバー商会は明治政府誕生と同時に倒産しており、これは革命の成功をもって意図的に倒産させたといわれています。

グラバーなくして近代国家は成立しなかった

グラバー商会を終えたあと、グラバーは日本の産業資本の育成に尽力します。

三菱財閥と共同して三菱造船所の前身となる造船ドッグを建設し、三菱のビール会社であるキリンビールを立ち上げたのもグラバーです。

産業面だけでなく、維新政府とも関わりが深く、造幣局の機械化なども支援しています。

それにしても、なぜグラバーがここまで日本に尽力したのか、その本当の理由はわかりませんが、少なくともグラバーがいなければ日本の近代化は遅れたことは間違いないでしょう。

おわりに

今回は日本の近代革命を担った薩摩・長州藩について解説していきました。

江戸の中央集権から遠い場所でありながら、地政学的には有利であった薩摩と長州によって実現された革命という時代のうねりは、必然的な運命だったのかもしれません。

また日本の近代化が大きな戦争につながらなかった背景には、天皇の存在があったともいわれています。だからこそ江戸幕府最後の将軍・徳川慶喜も体面を汚さずに、大政奉還をすることが建前としても可能だったのではないでしょうか。

また薩摩と長州には、有言実行するだけの強力な経済力があったことは忘れてはなりません。

これは日本経済が停滞する時代を生きる私たちにとって、経済成長がいかに重要なのか、教訓となる歴史的な出来事ではないでしょうか。

以上「再発見!金融経済アルキ帖」でした。

次回も是非よろしくお願い致します!

文/鈴木林太郎

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