「猫の健康手帳」が作られるきっかけとなった、健康長寿に欠かせない3つの要素とは?
松本 飼い猫の日々の体調管理やワクチン接種履歴は、しっかりと飼育管理を目指す飼い主さんにとっても意外と難しい問題でした。
自分でノートを買ってフォーマットを作ってみたり、Excelで管理する飼い主さんのことは私も知っていたのですが、ぽぽねこの健康手帳は1冊あればそのフォーマットを用意する手間がかなり省けてしまうので、驚いています。
まず、そもそもこのノートが完成した経緯について、教えてください。
栗山さん 弊社は猫首輪を主力商品とした猫用品メーカーです。
商品開発では「猫との暮らしの問題解決」をメインテーマにしています。
ものづくりを通じて猫ちゃんや飼い主さんに「安心・安全」「適正飼養の啓蒙」を提供したいと考えています。
猫首輪は「脱走・迷子対策」、ハーネスは「防災対策」、洋服やエリザベスカラーは「過剰グルーミング対策や少しでも快適な術後の療養」など、猫ちゃんの困りごとの一助になれればと思っています。
それらの困りごとを抱えている飼い主さんの声を聞いているうちに、もっと正しい情報提供によって適正飼養を啓蒙していかなければならないと感じました。
また、猫ちゃんはワンちゃんに比べてワクチン接種率が低いと言われています(20〜30%と推定されているそうです)。
そこで、適正飼養の手助けをする「母子手帳」のようなものを作ろうと企画を立ち上げました。
すべての飼い主さんは猫ちゃんの長生きを願っています。そこで猫ちゃんの「健康長寿」に必要な要素を洗い出し、次の3つに絞り込みました。
・病気を予防する
・病気になったら正しい治療を受ける
・緊急時に備えておく
日頃の健康管理と正しい病気予防、病気になってしまったときには獣医師に症状を正確に伝えることで適切な診療を受ける。また、脱走や被災時に備えておくことで万が一のときにも冷静に対処できるようにする。
それらを1冊にまとめるべく、自身も猫ちゃんを飼っている獣医師とデザイナーによるプロジェクトチームを作り、何度も何度も意見交換しながら完成させました。
似たようなアプリもありますが、ずっと手元で愛猫ちゃんとの大切な思い出として残るという点で紙媒体を採用しました。
飼い猫が脱走した場合について、「猫の健康手帳」に対処法が記載されている理由…
(手元に届いた手帳と我が家の飼い猫。猫は完全室内飼育が安心安全)
松本 現在は猫が日本でもっとも多く飼育されるペットとなっていますが、脱走リスクなどはなかなか根絶できず、迷子になってしまう事例も少なくありません。
猫の健康手帳には猫ちゃんが脱走してしまったときにやるべきことがリスト化されていますが、こういった要素も飼い主さん各位がまさかの事態について気を向けるきっかけになり、素晴らしいと思います。
この脱走時のやることリストしかり、健康手帳に付帯されている機能はそれぞれ、どんな思いで追加していったのか、教えてください。
栗山さん 弊社は猫首輪メーカーですので「脱走・迷子対策」は最も大きなテーマです。
首輪は迷子になってしまったときに、飼い猫であることを周囲に知らせ、帰還の手助けになります。
首輪を販売していると、愛猫の脱走・迷子を経験された飼い主さんのお声をたくさんお聞きします。なんとか無事に帰還したケースもあれば、残念ながら帰ってこなかったケースもあります。
万が一、愛猫ちゃんが迷子になってしまったとき、届け出をしたり、迷子猫チラシを配布したり、SNSで発信することで帰還の確率は上がります。
それらを事前に把握しておくことが重要だと思い、猫の健康手帳にアクションリストとして盛り込みました。
また、迅速かつ冷静に行動できるように、日頃から同居の家族とも認識を合わせて置くことも大切だと思います。