従業員の健康支援に注力することも、生産性を向上させる意味で企業の大事な役割の一つだ。ということで、近年は「健康経営」を意識する会社も多いが、具体的にはどんな取り組みが行われているのだろうか?
キリンビバレッジはこのほど、健康支援に携わる経営層(役員以上)300名、人事等の健康支援に携わる部門担当者300名、健康支援を受ける従業員300名に対して「企業の健康経営と健康支援を受ける従業員」についての意識調査を行い、その結果を発表した。
2023年の健康支援の取り組みについて
健康支援の取り組みは2022年と比較し減少、中でも「感染症予防(主にコロナ)」は大きくダウン
健康支援の取り組みは、前年と比較すると減少した項目が目立った。中でも「感染症予防(主にコロナ)」は2022年が60.8%であったのに対し、2023年は26.8%と▲34.0ポイントと大きく減少した。
一方で、「定期健診受診促進」が73.0%と最も多く、前年よりより10.4ポイント上昇した。
2022年から新たに始めた健康支援の取り組みは、「定期健診受診促進」(10.3%)、「ストレスチェックの実施」(8.4%)、「長時間労働対策」(7. 2%)の順となり、どれも1割程度にとどまった。
健康支援に関する予算を増やしたと回答した割合は前年に比べ増加、現在行っている取り組みに予算を投じていると推測できる
健康支援に関する予算が前年より増加した割合は46.0%と前年より2.3%増加した。また、企業の課題は「人材の強化」がトップで、昨年調査と比較し “人材”へ投資する健康経営が拡大している。
8割が健康経営の取り組みに「指標」を設けており、7割以上が「効果測定・改善しているものがある」と回答
健康経営に携わる経営層(役員以上)と部門担当者によると、「指標にしているものがある」と回答したのは80.0%、「効果を測定しているものがある」と回答したのは76.5%、「効果を測定後改善までしているものがある」と回答したのは70.7%となり、「効果測定の指標化」及び「効果測定の改善」スコアが前年を超えた。
2022年より健康経営優良法人認定において、「大規模法人部門」では「健康経営の推進に関する効果検証」が、「中小規模法人部門」では「評価・改善」が認定要件に必須化されたことから、単に実施するだけでなく、その効果を検証し、成果を踏まえた実施フェーズへ移行したことが推察される。
健康支援の効果は、「従業員のパフォーマンス向上」が最も高いが、全体スコアは2022年より減少
健康支援の取り組みで効果があったものは「従業員のパフォーマンス向上」(40.5%)、「健康診断受診率の向上」(37.0%)、「組織の活性化」(24.8%)の順で高かったものの、昨年と比較して全体的にスコアが下がった項目が多かった。特に、従業員規模が300名以上の企業においては、スコアの減少が顕著に現れた。