フォルダブル『Galaxy Z』シリーズについて
サムスンはハイエンドモデルとして、フラッグシップの『Galaxy S』シリーズと、フォルダブルの『Galaxy Z』シリーズを展開している。ロー氏は、「Samsung Galaxy製品は多くの革新を生み出してきた」と、大画面+ペンの『Galaxy Note』シリーズや、大画面をコンパクトに持ち運べるフォルダブルへの取り組みを振り返りながら、「こうした取り組みはこれからも続けていくが、より重要なのはユーザーニーズと技術トレンドに合致した機能を提供すること」だと説明した。
『Galaxy S』シリーズは「最高のカメラ体験、最高の性能、最高のディスプレイ、安心して使用できる安定感」、一方の『Galaxy Z』シリーズは大画面をコンパクトに持ち運べるフォルダブルとして、今後も引き続き2つのシリーズを展開していくという。
『Galaxy Z』シリーズの今後については、、「消費者の方のニーズを綿密に調査している」と話し、大画面をもっと薄く軽く持ち運びたいという声や、ゲームを楽しめる性能を求める声を把握していると言う。「昨年発売した『Galaxy Z Fold4』はこうしたニーズに応えられるように開発した。これからもさらに開発を進めていく」と話し、「カメラ性能についても応えていきたい」と語った。
なお最近では他社からもフォルダブル製品が登場してきているが、サムスンでは4年前に初めて製品を投入して以降、「フォルダブルならではのユーザビリティを実現するために、アプリのエコシステムを構築すべく、様々なパートナーと努力してきた」と、ロー氏。「ハードだけではなく、ソフトウェア、サードパーティのアプリがどれだけ完璧に動作するかが重要な要素。Samsung Galaxy製品は多くのパートナーとの協力を通じて、最適化されたコンテンツ、サービスをいち早く提供している」と、優位性を強調した。
日本企業とのパートナーシップについて
パートナーシップについて、「日本においても、多くのパートナーや部品供給企業の協力や支援がなかったら、現在のSamsung Galaxy製品の成功はなかった」と話すロー氏。「初代『Galaxy S』から今まで継続的に、日本のパートナーと多くの新しい技術について、先行研究や議論を行ってきた」といい、その一例として、Sペンに採用されているワコムの技術をあげた。「10年以上のパートナーシップによって、ハードウェアやソフトウェアのアルゴリズムを継続的に発展させながら、ペンによる手書き入力を主導してきた」とのこと。ほかにもさまざまなセンサーや素材など、多くの日本のパートナーの協力を得ているという。
また、日本のキャリアとの長年にわたるパートナーシップに触れ。「Samsung Galaxyが日本市場で成功するためには、日本のニーズをよく理解し、あわせた機能、サービスを提供することが重要。そのニーズを誰よりも知っているのは、日本のパートナー会社やキャリア。今後も関係をより強化しながら協力していきたい」と話していた。
ブランド変更の第一弾となる『Galaxy S23』シリーズは今後のサムスンの戦略上も非常に重要とロー氏。
「Samsung Galaxy」ブランド変更の狙い
サムスンでは今回の『Galaxy S23』シリーズから、従来の『Galaxy』ではなく、『Samsung Galaxy』としてブランドを展開する。ロー氏によれば、これは「社内、キャリア、パートナーとの議論や、日本での消費者調査を踏まえた変更」だという。
「10年前から日本市場に進出し、消費者の方々に満足いただけるような製品、サービスを提供してきたつもりだが、ブランド認知やマーケットシェアではまだ足りない部分もあり、努力が必要だと感じている」とロー氏。『Samsung』ブランドは、米インターブランド社が発表しているブランド価値ランキング「ベストグローバルブランド」で、3年連続5位となるなど、世界で高い認知を誇る。ブランド変更を機に日本でもさらなる認知向上をはかっていく考えだ。「『Galaxy S23』シリーズの発売とともに、日本の消費者の方々に知らせるための取り組み、マーケティング活動を強化していきたい」と話していた。
取材・文/太田百合子