4代目から採用している新しいボディー構造でスムーズなコーナリングを実現
コーナリングに関してもこのクルマは、そのスタイリングから想像できないほど、しっかり踏ん張る。S字コーナーでハンドルを切り込むと、かなり抵抗は強く、戻しも強いが、ボディーのロールは大きくない。これは高速コーナーでも同じ。ダイハツが4代目から採用している新しいボディー構造の成果だ。もともと「タント」はデビュー当時から、コーナリング能力は高かったが、それがさらに進化した。ただし、同乗者がいる時には、こうした運転は慎んだほうがいいだろう。
前後席のシートアレンジの多彩も魅力的だ。前席は両方とも前後に大きくスライドする。特に運転席は最大540mmスライドする。しかもこのスライドはPレンジに入っていないと実施できないという配慮がされている。もちろん、前席から後席へのウォークスルーもできる。
後席に座ってみて気づいたのは、前席スライド用のシートレールの処理だ。後席側にカバーがかけられている。大抵のクルマは前席シートレールの後端(後席側)はレールがむき出しになっている。個人的には、ここに靴があたると傷がつくし、小さな子供が転倒して、ぶつけるとケガをしないか気になるので、この処理はうれしい。
後席のアレンジも左右別々のスライドやリクライニングが用意されている。リクライニングは最大50度まで。前席の背もたれをフラットにすれば、身長180cmクラスでもリラックスできる。フルフラットにはなるが、長い荷物は前席はシートの上に載せる。背もたれ背面の利用はできない。これに関しては、ホンダの「N-WGN」などが優位だ。
車体後部の荷室は、後席をスライドさせることで奥行きが約500mmになる。シートのスライドは後ろからできる。2022年10月のマイナーチェンジで、荷室の床板に脚が付き、立てると荷室が2段階に使え、取り外すと車外でテーブル代わりになるというアイデアが実用化されている。
もちろん、助手席のドアとスライドドアを開けると、ピラーレスになる空間も開放感がある。適度にパワフルで、広い空間と走りを楽しめ、運転もしやすく、質感もあるスーパーハイトワゴンが「タントカスタム」なのだ。
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https://www.daihatsu.co.jp/lineup/tanto/
文/石川真禧照 撮影/萩原文博