■石川真禧照のK-CAR徹底解剖
「スペーシア カスタム」がスーパーハイトワゴンクラスの中で最も特徴的なのは、マイルドハイブリッドを搭載していることだ。3気筒DOHC、0.658ℓのガソリンエンジン+ターボに加えて、リチウムイオン電池と直流同期モーターを組み合わせ、低燃費とスムーズな発進と加速を実現している。
ガソリンの消費を抑える仕組みとは?
ガソリンエンジンの最高出力は64PS、最大トルクは98Nm。これに3PS、50Nmのモーターの力が加わり、クルマを動かす。そのメカニズムは、減速時の回生エネルギーを利用して発電するというもので、助手席の下にある専用の大容量リチウムイオンバッテリーに充電し、そこで貯めた電力でモーターを動かし、クルマがスタートする時のアシストや電装品に利用することで、ガソリンの消費を抑える仕組みだ。
アイドリングストップから発進する時はモーターの力だけでスタート、クリープ走行して、ガソリンを節約する。エンジンを再始動する時はモーター機能付きの発電機が作動して再始動を助ける。モーターからのスタートなので、エンジン始動時の振動が抑えられている。加速時もモーターの力はアシストする。さらに、ハンドルにある「PWR」(パワー)スイッチを押せば、エンジンと変速機(CVT)の制御を変更し、モーターアシストのトルクをアップさせることで、加速力を向上させる。
その実力を試そうと、早速、試乗に出かけた。試乗車は「カスタム ハイブリッド XSターボ」の2WD、FF車。車両本体価格は188万3200円。メーカーオプションで全方位モニター用カメラパッケージ、2トーンボディカラー。ディーラーオプションを加えているので、合計215万5734円という価格だ。
インパネに設けられているシフトレバーのポジションはP/R/N/D/Mの5つ。コラムにはパドルレバーもあり、左シフトダウン、右シフトアップが行なえる。マニュアルシフトは7速まで用意されている。
Dレンジでスタートする。加速は2500回転あたりからトルクが太くなる。モーターのアシストは、ハッキリとは体感できないが、アイドルストップからの走り出しのスムーズさは、アシストの影響だろう。エンジンは3000回転でも音の高まりは抑えられている。高速道路の100km/hの巡航は2500回転前後なので、高速巡航時のエンジン音はあまり気にならない。
加速性能も0→80km/hは7秒台と速く、このクラスのターボモデルとしては速いほうだ。燃費だが、実走燃費は12~19km/hで、カタログ燃費は24.0km/Lなので、走り方しだいでカタログ燃費に近づけることはできそうだ。ハンドリングは直進、コーナーともにやや重めの操舵力をキープしている。ハンドルの切り込みもやや力を必要とした。
乗り心地は、目地や段差の乗り越え時にはボディー全体にややソリッドな動きが感じされた。上下動も高速道路での大きなうねりでの動きは大きめ。もう少し抑えを効かしてほしい部分だ。ちなみに装着していたタイヤはブリヂストンの「エコピアEP150」で165/55R15だ。