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オーストラリアの公共交通機関でクレカによるタッチ決済乗車が可能に、便利になった一方で噴出した意外な不満とは?

2023.04.18

「クレジットカードや銀行のキャッシュカード。電車のICカード乗車券に運転免許証。そこに診察券やら会員券やらポイントカードが加わって札入れがもうパンパンだ!」

そんな悩みを持つ方にとって、これから話すことはある種の朗報かも知れない。

電車がクレジットカードで利用可能

「これからはクレジットカードをピッ!とタッチするだけで電車に乗れるようになります!」

オーストラリア・ブリスベン近郊の電車・バス・船などの公共交通機関をすべて統括する「トランスリンク」(クイーンズランド州政府交通局管轄で、各市の交通局や鉄道、民営バス会社などを束ねる連合組織)によるそんなお知らせを見たとき、当地に住む私はとうとう夢に見た時代が来たと思った。

もうクレジットカードと「Go Card」(関東のSuicaやPASMO、関西のICOCA同様のICカード乗車券)の両方を持ち歩く必要はなくなるのだ、と。

駅のタッチスクリーン

利用できるクレジットカードはビザ、マスター、アメリカンエクスプレスの3種類。チップが埋め込まれている非接触型のカードはもちろん、クレジットカード機能を搭載したスマートフォンやスマートウォッチも使えるという。

利用方法は従来のICカード乗車券とまったく同じで、乗車駅と下車駅でセンサー部分にタッチするだけだ。

クレジットカードやICカード乗車券やポイントカードをスマートフォンやスマートウォッチを入れ込んでいる人たちにとってはあまり変わらないかもしれないが、各種カードを札入れに大量に挟んでいる人たちは少なくともカード一枚分は薄くすることができる。

従来のICカード乗車券「Go Card」。これを使わなくなる日は来るのだろうか?

現状ではまだ「テスト段階」

ただしこのシステムはまだ完璧ではない。

たとえば2023年4月時点ではクレジットカードで払えるのは「大人料金」のみ。「子ども料金」「学生料金」「引退した年金生活者料金」などの各種割引料金で乗車している人たちは、このクレジットカード決済は使えない(クレジットカードを用いると自動的に割高な「大人料金」を支払うことになる)。

ただし将来的に割引運賃も適用できるようにする予定だという。

また現在エリア内のすべての電車駅ではクレジットカードの利用が可能だが、バスや船は「順次導入」とのことでまだ使えない路線も多い。

ブリスベン中央駅の改札

さらに各市の交通局や鉄道、民営バス会社などを束ねる連合組織である「トランスリンク」の料金は「ゾーン制」を取っていて、管轄する鉄道・バス・船のどれもどう組み合わせて利用しても「どのソーンからどのゾーンに移動したか」で料金が決まる(これは運営会社が変わるたびに初乗り料金がかかる日本の交通料金もぜひ見習ってもらいたいものだ!)。

だがクレジットカードでの支払いの場合、鉄道同士の乗り換えは可能だが、たとえば電車とバスの場合だとそれぞれで別料金が現時点ではかかってしまうので、その場合は従来のICカード乗車券である「Go Card」を使ってほしいという。

このように現状ではまだ「トランスリンク」自体が述べているように「トライアル」段階であるが、解決に向けて動いてはいる。

ただこんな不満の声を上げる利用者もいる。

「クレジットカード対応のために新たに設置されたカードリーダーが非常に強力らしくて、財布に入れたままだとすべての磁気カードを読み込んでしまうそうなので、利用のたびに財布からクレジットカードを抜きださなければいけないんです。それがいちいち面倒」

別の利用者も同調する。

「私もいちいち財布から出すのが面倒だと思うので、カードだけズボンのポケットに入れています。でもクレジットカードだとなくしたら大変。従来のICカード乗車券はオートチャージをする残高を低く設定しておけばなくしてもそれほど困らないので、結局はそっちで乗車するほうにもどしました」

便利と不便は紙一重なのかもしれない。

ブリスベン中央駅の改札。日本のものと比べて少なくとも派手さでは軍配が上がる。

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