上司・先輩、同僚・部下と職場の人間関係は複雑だ。相手によって対応を変える煩わしさもあり、ストレスはたまる一方。そんな多くの悩みを精神科医のTomyさんが一挙解決。メンタルもスッキリ、ミニマル化してみよう。
精神科医 Tomyさん
心療内科・精神科のクリニック院長。著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)など『1秒シリーズ』は30万部を突破した。
職場で誰との人間関係に難しさを感じましたか?
首位に立ったのは先輩で、次いで同僚との人間関係に悩んでいるビジネスパーソンが多数派。直属の上司は3位にとどまった。
「直属の上司・先輩・経営層」との人間関係に難しさを感じた理由
「威圧的に感じる」「気分に浮き沈みがある」「指示に一貫性がない」がトップ3。「相談に乗ってくれない」、「仕事を任せてくれない」ことも悩みの種。
■「同僚・後輩・非正規社員」との人間関係に難しさを感じた理由
同僚や後輩の人間関係では「不平不満が多い」ことや「自分の意見や考えに固執」することに、関係性を持つ難しさやストレスを感じている。
1万人に聞く「職場の人間関係」意識調査(『エン転職』ユーザーアンケート)より
上司より先輩との人間関係がストレスに
ビジネスパーソンにとって、昇進のキーマンである上司・先輩とうまくつきあっていくのは重要なことだが、気遣いも多くストレスがたまりやすい。アンケート調査で興味深いのは、上司より、先輩とのつきあいにストレスを感じると答えた人が多かったことだ。
「先輩だから顔は立てなければいけないけれど、上司ではないので言うことを聞く筋合いはない。この不明瞭な関係性がつきあいづらい一因です。同僚との上下のない曖昧な関係も同じくストレスになりやすく、特に表裏があるのに上司受けがよかったりすると、嫉妬や比較も入り交じり、余計もやもやします。解決策は、仕事に支障が出ない程度の距離をおいて、最初から相手にしないこと。職場はそもそも仲良しこよしの場ではありません。〝仕事さえちゃんと回っていればよし〟と割り切ればストレスは軽くなるんです」
上司・先輩とのつきあいで、具体的なストレスの一番に挙がったのが「威圧的な態度」だ。
「上司だから尊大に振る舞えたのは昭和の話。今は威圧的になること自体に問題があり、部下や後輩から、ハラスメントと突き上げられる危険性もはらんでいます。現代の上司や先輩に望まれるのは、決して威厳を保つことではなく、部下・後輩に対し、仕事で何をすればいいかを明瞭に伝えられるスキルです」
続いて「気分に浮き沈みがある」「指示に一貫性がない」上司・先輩も嫌われ者だ。
「指示に一貫性のない上司と仕事をする場合、『その指示はこういうことですね』と念を押し、上司が肯定してから仕事に取りかかればいいと思いますよ。その時、メモを取ることも大切です。朝令暮改となっても、メモを見ながら『朝はこう話していましたけれども、それを変えるということでいいですか』と確認すれば、上司的にやりづらいですから。もちろん『そんなの知るか!』と開き直るでたらめな人もいます。その時は『わかりました』とだけ伝え、指示を放置し、自分の考えで仕事を進めてください。朝、言ったことを覚えてないような人なら、指示を無視しても仕事に支障は出ませんからね」
「人柄が信用できない」「評価が公平・公正でない」。さらに「具体的なアドバイスをしてくれない」「相談に乗ってくれない」など、コミュニケーション下手な上司も、ストレスのもとになっているようだ。
「人柄が悪くても、信用できなくても、仕事さえ回れば問題ありません。人柄と仕事を切り離すとストレスにはなりにくいのです。評価については上司がする以上、対処法はなく諦めるしかありませんね。また、コミュニケーション下手の上司には、部下が率先してアプローチをすればいいと思います」