米国起業家列伝シリーズ「ジェフ・ベゾス全解剖」
今回の米国起業家列伝シリーズはアマゾン創業者「ジェフ・ベゾス」です。
ECサイトのアマゾン、クラウドサービスのAWS、レジで決済せずに買い物ができるアマゾンゴー、AI音声認識サービスのアレクサ、またアマゾン以外ではブルーオリジンという宇宙事業の会社を立ち上げています。
日本でもアマゾンで買い物をして、Kindleで本や雑誌を読み、プライムビデオで映画やドラマを鑑賞するなど日常的に楽しんでいる方も多いのではないでしょうか。
現在、世界で最も影響力のある経営者であり、世界最大の資産家の一人でもあるベゾスについて、生い立ちやビジネスにおける哲学やビジョンに迫っていきたいと思います。
生い立ち
1964年1月に生まれたベゾスは5歳の頃に忘れられない経験をしています。それが1967年7月20日に実現したアポロ11号の月面着陸です。「何か特別なことが起きている」と感じたベゾス少年はテレビに釘付けとなり、この日を境に宇宙に夢中になっていきます。SFドラマのスタートレックにも夢中であり、学校のコンピュータ室にあったテレタイプ端末(TTY)でゲームが出来ることを知り、操作するためにプログラミングを学んでいきます。
○テレタイプ端末(TTY)・・・回線で信号を送受信するためのタイプライターのようなソフトウェア端末
こうした機械いじりが得意になったキッカケはベゾスの母の影響が大きいようです。
ベゾスの母はベゾスが好奇心旺盛であることに注目して、自宅ガレージで好きなように工作する環境を用意してくれたのです。ここで日々、発明と実験を繰り返していたベゾスは、傘にアルミホイルを巻いて太陽光を集めるソーラー調理器を作るなど、日々ものづくりを続けていました。
こうしてガレージで培った体験は、アマゾンを創業してからも変わらず、ベゾス・レターと呼ばれる投資家に向けた手紙のなかで「アマゾンをインベンティング・マシン(発明マシン)にしたい」と発言しています。
祖母への強烈な一言
そんな好奇心旺盛で計算も得意だったベゾスですが、ある日、タバコ反対の広告でみた知識をベースに、喫煙していた祖母に向かってタバコで何年寿命が縮まったのかを説明します。計算が得意であることを褒めてくれると思ったベゾスですが、突然の発言に祖母は驚き泣いてしまったようです。この体験で、ベゾスは賢いことよりも優しいことの方が難しいことを学んだのです。
その後、プリンストン大学に進学し、電子工学とコンピュータサイエンスを学び、金融業界へ進みます。その後、スカウトされたヘッジファンド「D.Eショー」では副社長になるなど活躍しましたが、葛藤しながらもベゾスが意思決定に使った「後悔最小限の理論」に従い、今やらなければ80歳になったときに後悔するはずと考え、起業することを決断します。