スタートアップでつながる山梨県と浜松市
とある政治家が、こんなことを言っていた。
「ふるさと納税は、地域毎の“特産品格差”が出る。その土地でしか生産できない農産物や工業製品があればいいが、そうでないところは地元とは全く関係ないものを出すしかない」
ところが、流通の問題でせっかくの特産品を活かし切れていない自治体もあるという。それを解消しつつある峡南地域は、実は恵まれているのかもしれない。
もうひとつ、交通の便が良くなれば地元経済やビジネスにも多大なインパクトを与えるという例を紹介したい。3月22日、山梨県甲府市の会場で『山梨県×浜松市 スタートアップピッチ』というものが開催された。これは名前の通り、山梨県と静岡県浜松市の計6つのスタートアップが参加したピッチイベントである。
なぜ、山梨県からいきなり静岡県浜松市なのか? という声もあるだろう。山梨県から中部横断道で南下すれば、まず行き当たるのは静岡県静岡市である。しかし高速道路で接続された地域同士が、このようなイベントを開催して交流を深めるのはむしろ自然の流れとも言える。そして現に、山梨県と浜松市は2021年12月に「幸福循環地域連携に関する共同宣言」というものを締結しているのだ。
が、それを考慮しても上のピッチイベントに静岡市が混ざっていないというのは、筆者としてはもどかしい限りである。
「しぞーか民」の動き
このあたりは静岡市民はよく理解しているはずだが、新しいものや注目されている事柄に対して「しぞーか民」はあまりアグレッシブにはならないという特徴がある。大手チェーン店出店に対する住民の反対活動は、ここでは昔からよく聞く話だ。最近の例を挙げれば、城北公園のスターバックスコーヒー騒動というものがある。
その賛否はさておき、今後は中部横断道がもたらす経済効果を自覚し、それに関心を示していかなければ同じ県内で大きな経済格差が生じてしまうかもしれない。特に静岡市では若者の流出が問題視されるようになって久しいが、それに対する有効な手段をなかなか打ち出していないというのも事実。
そして、人口問題と産業の創出・発展はワンセットの話である。これから静岡市で新しい産業が創出されるとしたら、それは中部横断道と関係の深いものになっていくだろう。
【参考】
峡南地域の観光振興の羅針盤となる峡南地域観光振興戦略を策定 峡南地域(市川三郷町、早川町、身延町、南部町、富士川町)の価値を伝えるコンセプトは「HEALING in FUJI VALLEY」-PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000152.000078927.html
「山梨県×浜松市 スタートアップピッチ」開催 両県市内の計6企業が取組を発表します-PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000140.000078927.html
取材・文/澤田真一