2022年の「Web3.0」元年から2023年はいよいよ実装に向けてスタートを切った2年目となり、Web3.0周りのプラットフォームがぞくぞく登場している。そのうちの一つとして先日生まれたのが「アニカナ」だ。誰もが自分の体験や行動を活用して経済的な価値に変換できるWeb3.0プラットフォームとして誕生し、「行動や体験を通じて稼ぐ」=「X to earn」も実現に近づいた。
今回は、「Learn to earn」実証実験の事例とともに、新プラットフォーム考案者に日本におけるX to earnの可能性を聞いた。
ITスクールの「Learn to earn」実証実験
日本政府が推し進めているWeb3.0は、国内投資の拡大、イノベーションの加速、所得向上など日本経済や人々の稼ぐ力を積極的に引き出せる可能性に大きな期待が寄せられている。
そんな中、注目されているのがX to earnだ。「様々な行動や体験を経済的な価値に交換する」という意味で、X には「Play(遊ぶ)」や「Move(動く)」「learn(学ぶ)」などの言葉が入る。誰もが行動や体験を通じて暗号資産などを獲得し、経済的価値を生む考え方だ。
そのうちの一つ、Learn to earnについて、大阪でITスクールを運営事業を営む株式会社ワークアカデミーが、ソフトウェア開発企業であるレヴィアス株式会社よりブロックチェーンの技術提供を受け、実証実験を実施。実際に「学んだ経験」自体が資産に還元できるかどうかを検証した。
ワークアカデミーの執行役員である柴橋静華氏によれば、もともと若者たちにブロックチェーン技術に対する知識の向上とWeb3.0の世界観を実際に肌で体験してもらうこと、またこの分野に対するリテラシーを身につけていくことの必要性を感じていたという。「若者に正しいIT・金融リテラシー」を習得する機会を提供していきたいとの思いで実証実験に参画した。
●「Learn to earn」のメリット
Learn to earnは、「若者に正しい IT・金融リテラシー」を習得するにあたって、どのようなメリットがあるだろうか。柴橋氏は次のように答える。
「新しいWeb3.0の世界観が近い将来、席巻すると考えられる一方で、法整備が終わっていない部分もあり、若い方が詐欺や事件に巻き込まれるニュースも多く目にします。そこでLearn to earnがWeb3.0やブロックチェーンに対するリテラシーを習得するきっかけとなること、そしてブロックチェーン技術が社会に対し、今後どのような可能性を持っているかを考え、実現するためのスタート地点に立つきっかけになると考えました」(柴橋氏)
実証実験では、同社運営のIT・ビジネススクール「資格とキャリアのスクールnoa」の受講生たちが、自らの学んだ経験をブロックチェーン技術を使って記録し、NFT(非代替トークン)という唯一無二の代替不可能な仮想通貨のようなものとして蓄積する体験を得た。進学や就職・転職を経ても、生涯を通じて「学びの記録」が蓄積されていくわけだ。
実証実験に協力した受講生からは次の感想が挙がったという。
・「転職目的でWebスキルを身に着けた。学んだことが可視化され、価値になったことが嬉しい」
・「NFTをやってみたいと思っていたものの訳がわからず手が出せずにいたので、この世界に一歩踏み出せて良かった」
この実証実験を受けた今後の展望について柴橋氏は次のように語った。
「今後、国全体の生産性を高めていくためには、労働集約型経済から知識集約型経済への転換を進めていく必要があります。そのためには、学費を企業や国が負担し、学んだ受講生と企業が仕事を通してマッチングする仕組みを構築していきたいと考えています。
学んだ知識や経験を資産化できるX to EARN機能を活用し、様々な企業や団体と共に、学ぶ意欲の高い方々の学びを支援し、就労を支援していく仕組みにつなげていきたいです」(柴橋氏)