『狂気』2023年リマスター。
ピンク・フロイド『狂気』発表50周年を記念して、凄まじいボックスセットが発売された。LP、CD、DVD、ブルーレイ、豪華写真集etc. (詳細を知りたい方は“狂気50周年”で検索を)、コンテンツ山盛りだ。だがアナログレコードしか聴かない僕が欲しいのは、2023年最新リマスターのLPと、初めてレコード化された『狂気:ライヴ・アット・ウェンブリー1974』だけ。レコードが2枚欲しいだけだから、価格は1万円ほどで済むはずで、実際、『狂気:ライヴ・アット・ウェンブリー1974』は4400円(税込)だ。
だが2023リマスターLPは単体発売されない。欲しければボックスセットを買うしかないのだ。価格はオープン・プライスだが、HMV、タワーレコード、ディスクユニオン、アマゾンのサイトを見ると、4万円台半ばくらい。僕が最も利用するHMVは4万5千円(税込)だ。となると、いらないものに約3万5千円を払うことになる。真っ当な人なら買うことなく、やがて単体発売されることに期待するはずだ。
“狂気”のレコード・マニアが抱いた不安
されどそこは“狂気”のレコード・マニア、なんとか自分を納得させる大義名分はないかと頭を働かせる。そういえばHMVは時々“8千円とか1万円以上買うと○%クーポン付与”というキャンペーンをやるなと思い、改めてHMVサイトを見るとあった。1万円以上で20%クーポン付与、4万5千円だから9千円分のクーポン付与、よって3万6千円。見事大義名分成立、予約と相なった。
ところがその夜ベッドに入ると、HMVサイトにUSA盤とあったのが気になってくる。ピンク・フロイドの母国はイギリス、UK盤の方が音はいいのでは? 起き出して他の販売サイトを調べる。だがUSA盤と明記するサイトはあっても、UK盤はない。こうなれば奥の手(?)、アマゾンのUKサイトで買うしかないと、HMVはキャンセルしてアマゾンUKで予約し直した。UKだからUK盤(あるいはEU盤か)と推測したのだが、USA盤が来たらそれはそれで仕方がない。9千円クーポンを失っても、UK盤である可能性に賭けた。価格は送料等込みで43974円だ。
届いた大箱。あまりの大きさと重さに驚いた。
中箱。大箱と中箱の隙間には、緩衝材として丸めた紙がぎっしり入っていた。
中箱の中に、本来の外箱が。
本来の外箱の中にボックスセットが。
日本の(世界の)発売日3月24日を過ぎた30日、イギリスからDHLで届いた。画像のようにその段ボール箱の大きさに驚く。大の外箱に中の外箱が入り、中の中に本来の外箱が入る。アマゾンUK、安心・安全の梱包だ。
ボックスはイタリア製、という意味か?
レコードはオランダ製。
さてボックスのクレジットを見ると、Made in Italyとある。イタリア盤? だがレコード・ラベルには、MADE IN THE NETHERLANDSとある。箱はイタリア製、レコードはオランダ製ということだろう。USA盤ではなかった。オランダ盤=EU盤で、UK盤は存在しないと思われる。
さあ、2023年リマスターを手に入れた。『狂気』は、ブルー・トライアングルと呼ばれる今では10万円以上するUKマト1、USマト1、帯付き2000円の初期日本盤、2011年リマスター、2016年リマスターを持っている。経験上、音は圧倒的にUKマト1がいい。