年功序列や終身雇用制度から、成果主義や転職が一般化したことにより、年上部下と抱える年下上司が増えてきています。自分よりも年上の社員をマネジメントしなければならないと考えると、それだけで気が重くなってしまっている人もいるのではないでしょうか。
記事では、年上部下とのマネジメントが難しいと感じる原因や、信頼関係を築けるマネジメント方法について解説していきます。
年上部下とのマネジメントが難しいと感じる3つの原因
まず、なぜ年上部下のマネジメントやコミュニケーションについて難しいという意識を持ってしまっているのか、その原因について考えていきます。ここでは主なものをピックアップしてご紹介します。
1.立場よりも年齢を意識しすぎている
上司の中に「組織の中においては、自分は上のポジションであり、指示を出す側」と、「自分は年下であり、相手は敬意を払うべき人生の先輩」という2つの気持ちがあり、2つめの年上に対する意識が強いときにマネジメントが難しいと感じることがあります。
年上の相手に敬意を払うことは悪いことではありませんし、上司だからと年齢を一切気にせずに“上からの発言”をしてしまうと、年上部下との関係はまずうまくいきません。
しかし、“上からの発言”をしてしまうと関係がうまくいかなくなるのは、年下の部下でも同じことではないでしょうか。
相手の年齢を意識しすぎてしまうと、上司と部下という関係性が曖昧になり、それがコミュニケーションのとりづらさ、マネジメントのしづらさにつながってしまいます。
2.上司という立場を「自分のほうが偉い」と思ってしまっている
上司という立場を「自分のほうが偉い」と思ってしまっている場合も、年上部下のマネジメントがうまくいかない可能性が高まります。年上部下からなめられたくないという思いから「上司だから自分のほうが偉い」と強く意識してしまっている状態です。
これは1.のように「組織の中で上司という与えられた役割にすぎない」と意識するものであれば問題ありません。しかし、「自分のほうが偉い」という意識が働いている場合には、無意識に上からの発言が増えていき、年上部下の反感を買ってしまう可能性もあるので注意が必要です。
3. 年上部下よりも経験が不足していることに劣等感がある
仕事歴が長ければ、さまざまな経験を重ね、その人しか知らないことや、上司であるあなたよりも経験したことが多い可能性ももちろんあるでしょう。それに対して劣等感があれば、年上部下のマネジメントはまずうまくいきません。仕事面での劣等感があると、上司の立場をうまく年上部下に示すことができず、指示なども曖昧になり、お互いに気を遣う関係になってしまうからです。
年上部下との信頼関係を築けるマネジメント方法3つ
年上部下との信頼関係を築くためには、上司の立場から年上部下にどう接するべきかを理解し、それを実践することが大切になります。その方法をここからはお伝えしていきます。
1.上司と部下という組織の中の役割を再認識する
原因でもお話しましたが、年上部下との信頼関係を築くには、まずは上司と部下という組織の中での役割を再度認識することです。指示を出す側の上司の立場が曖昧になるとその指示も曖昧になります。仕事に対して明確な指示がなければ、目標設定や成果を得ることはできません。つまりマネジメントはできないということです。
年上という年齢をあまり意識せず、「上司は自分自身である」という、求められている組織内での役割を全うすることが大切です。
2.公平・平等に部下と関わる
マネジメントを行う上で、部下との円滑なコミュニケーションは必須です。コミュニケーションを行う上で大切なことは、先入観に左右されずに相手を見ることです。ここでいう先入観は部下が「年上」であることを指します。
仕事での信頼関係は、「チームの一員である」と感じることで育まれます。上司が、部下を公平に見ず、年上だからと気を遣ったり、特別視していると、信頼関係は築けません。年上という先入観を振り払い、すべての部下に対して公平・平等に関わることを意識してみてください。
3.年上という敬意を忘れず、ときには頼る
3つ目は、「年上部下は敬意を払うべき人生の先輩」と敬意を持つことです。敬意を持つことで、上司だから「自分のほうが偉い」という気持ちや、経験の差を恥じる気持ちをなくすことができます。
そして、自分の経験不足や未経験のことに対して、素直に年上部下に頼ることができるようになります。
年上部下と年齢の差があるのですから、経験や知識に差が生じる事は当然のこと。それを受け入れることができれば、自然と部下を頼るようになり、その中で信頼関係を築いていけるでしょう。
文・構成/藤野綾子