日本は2022年のEPOへの特許出願において11.2%を占めて世界第3位
2023年3月28日に発表された欧州特許庁(EPO)の「2022年EPO特許レポート」によれば、日本の企業や発明家が2022年に欧州特許庁(EPO)に出願した件数は、前年比0.4%減の21,576件だった。
日本の件数は2022年のEPOへの特許出願において、世界第3位であり、また出願総数の11.2%を占め、米国(48,088件)、ドイツ(24,684件)に次いで多い結果となっている。
全体として、2022年特許レポートは、世界的なパンデミックや経済の不確実性にもかかわらず、技術革新に関する活動が昨年も堅調であったことを示している。なおEPOは2022年に合計で193,460件の出願を受理しており、これは前年比2.5%増となった。
発表に際してEPOのプレジデントであるアントニオ・カンピノス氏は次のように述べている。
「グリーン・イノベーションが期待される中、クリーン・テクノロジーや、電気を作り出し、移動させ、貯蔵する手段に関する出願は、堅実かつ持続的に増加しています。この継続的なブームが、新たなエネルギーへの転換をナビゲートしているのです。
第4次産業革命が私たちの生活、分野、産業を支配し、交通から医療に至るまで他の分野にも広がっていく中で、イノベーターたちはよりスマートな未来に向けても努力しています。それは、デジタル技術や半導体の特許出願が絶え間なく増えていることにも表れています」
電気機械・エネルギー技術のイノベーションブーム
EPOにおける日本の特許出願の技術分野のトップは、電気機械、装置、エネルギーで、クリーンエネルギー技術に関連する発明が数多く含まれている。
日本企業が2022年にEPOに出願したこの分野の特許は2,100件で、各国の中で最大のシェア(EPOにおける全体の15.1%)を占め、2021年比では19.9%増となった。
電気機械、装置、エネルギーの分野で、日本は、2015年以来初めてドイツ(14.4%)を僅差で抜いてトップとなり、次いで中国(14.1%)が続く。
EPOにおけるこの技術分野の出願では、日本企業のパナソニックが5位、日立製作所が9位となっている。パナソニックは、電池技術(電気機械、装置、エネルギーの下位分野)の特許出願トップ10においても日本企業3社のうちの1社で、2022年の電池関連特許出願件数は2021年比で倍増した。
2022年のEPOにおける日本からの電池分野の特許出願は、全体で前年比40%増となっている。
その他、日本が2022年に大きな伸びを示した技術分野は、表面技術/コーティング(2022年の出願数が前年比20.0%増)、材料/金属(9.0%増)、光学(8.3%増)だった。
運輸分野は好調を維持
EPOで日本が2番目に活発な技術分野は運輸分野となっている。日本企業は、トヨタ、日産、マツダ、ホンダ、スズキといった大手自動車メーカーを筆頭に自動車分野(運輸分野のサブフィールド)の特許出願に依然として非常に強いと言える。
ソニーの欧州における特許出願件数は世界第10位
ソニーは、2022年の特許出願件数が1,329件となり、引き続きEPOにおける日本企業のトップとなっている。ソニーはEPOの世界出願ランキングで総合10位だった(2021年の8位から低下、出願件数は9.3%減少)。
半導体分野では、2022年にEPOに特許を出願した全企業の中で7位、計測分野では8位、コンピュータ技術分野では10位、デジタル通信分野では12位となっている。
日本からEPOに出願した他の主要な特許出願企業は、パナソニックが865件、日立が793件だった。上記のように、パナソニックは電気機械、装置、エネルギーの分野で、EPOにおける全企業中5番目に出願件数が多い企業でもある。
一方、日立は電気機械で9位、計測分野で6位だった。EPOの特許出願上位50社のうち、ソニー、パナソニック、日立、キヤノン、富士フイルム、三菱電子、NTTドコモ、トヨタ自動車、ダイキン工業の9社が日本企業としてランクインしている。
世界トップクラスのイノベーティブな地域である東京
日本の全地域のうち、東京にある企業や発明家によるEPOへの特許出願数は11,905件で、日本全体の55.2%を占め、圧倒的に多くなっている。
また、東京の欧州特許出願件数は、米国カリフォルニア州の16,139件に次いで、全世界の全地域で第2位となっている。
関連情報
https://www.epo.org/about-us/annual-reports-statistics/statistics/2022.html
構成/清水眞希