米国株式市場の見通し~最重要課題はインフレの行方
三井住友DSアセットマネジメントのメインシナリオ
SVB問題に端を発した金融不安は当面燻り続けると思われる。その中で、三井住友DSアセットマネジメントは以下のように見通している。
景気……雇用の動きなどから、緩慢な減速局面がやや長く続く見通し。金融環境の悪化により23年後半にかけ米景気は減速すると予想している。
金融政策……FRBは金融不安が利上げ(0.25%)2~3回分の効果を持つとみて3月の利上げを小幅にとどめた。今後は5月に追加利上げ(0.25%)後、様子見に転換する見通しだ。
債券市場……当面、変動性の高い展開が続く見通しだ。年後半にかけて景気後退の確度が高まることと利上げが終了することで、金利低下に対する期待が入りやすい局面になると思われる。実際に利下げに至らなくても、緩やかに金利が低下する見通しだ。
株式市場……当面、変動性の高い展開が続く見通しだ。年後半にかけては、利上げ一巡後の金融緩和期待と、景気減速後の24年以降の回復を意識した展開で下値を切り上げると想定している。
リスクシナリオ
上記のメインシナリオが実現するには、インフレが緩やかながら低下することが条件だ。インフレの行方によって株式市場が上ぶれたり、下ぶれたりするリスクがある。
ダウンサイドリスク……インフレ率の低下が引き続き緩慢で、再度、市場の関心がインフレの行方に集まり、利上げ継続の可能性が高まる場合が考えられる。市場は足元ではSVB問題を中心に金融不安に注目しているが、FRBはそもそもインフレを抑え込めていない。
また、貸出基準の強化から銀行の貸し渋りが起きれば、信用悪化の効果は概ね半年後に顕在化するため、年後半の景気停滞が想定よりもやや深いものとなる可能性がある。この場合は株価の頭が抑えられると思われる。
アップサイドリスク……金融不安はこれ以上拡大せず、インフレ率、賃金上昇率が想定以上に急減速する場合が考えられる。この場合は、極端な景気悪化を伴わずに利上げが終了し、その後の金融緩和期待が高まると思われる。
※個別銘柄に言及しているが、当該銘柄を推奨するものではない。
出典元:三井住友DSアセットマネジメント
構成/こじへい