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慢性的な人手不足が続く中食業界を救う「ロボットフレンドリー」な環境の構築

2023.03.31

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

各業界で、ロボットを導入しやすい環境=「ロボットフレンドリー」(以下、ロボフレ)を実現するため、経済産業省では2019年度に「ロボット実装モデル構築推進タスクフォース」(以下、ロボット実装TF)を設置、2020年度から「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」などの事業を進めている。

日本惣菜協会は、昨年8月に経産省の「革新的ロボット研究開発等基盤構築事業」、農林水産省の「農林水産物・食品輸出促進緊急対策事業のうちスマート食品産業実証事業のうち、モデル実証事業」に採択され、ユーザー企業の小売り・惣菜製造企業15社と、課題解決のための技術を持つベンダー・協力企業16社とともに、ロボフレな環境構築に向けて、ロボット・AIの実現場への導入を推進している。ロボットの社会実装に向けた官民連携の2022年度の取り組みについて成果報告会が開催された。

中食におけるロボットシステム導入への試み

食品分野におけるロボット実装TFでは、2018年度の市場規模が、食品製造業の半分を占める(約 21兆円)中食の惣菜製造工程を対象に取り組みを推進した。

惣菜は多品目を小ロットで製造することに加え、発注者である小売から盛付の見た目も仕様として注文されることから、汎用的な製造ラインを構築するのは極めて難易度が高く、「盛付工程」と「出荷工程」は自動化されていない状況がある。

惣菜メーカーの多くは中小・零細企業であるため、小売事業者とも連携して、消費者の盛付に対する要求も踏まえながら、ロボットによる自動化に対応した容器や包装仕様の検討、人による最小限の手直しを前提とした自動の盛付、出荷ラインの設計・開発が求められている。

2022年度に開発したロボットシステムは、「惣菜盛付ロボットシステム(トレー供給一体型)」「惣菜盛付ロボットシステム(省スペース型)」「高速弁当盛付ロボットシステム」「超高速蓋閉ロボットシステム」「製品移載ロボットシステム」の5種類で、うち3種類は業界初の取り組み。

総菜盛付ロボット「Delibot」 トレー供給一体型

食産業向けのロボットサービスの研究開発、販売を行うコネクテッドロボティクスの惣菜盛付ロボット「Delibot」を改良し、トレー供給一体型、省スペース型の2タイプを開発した。

「中食の分野は、多品種で少量生産、商品が不定形、日配で毎日製造するため機械化が困難で、多くの人手が必要とされます。農水省の事業を活用し、ひとつの装置で容器供給まで行えるトレー供給一体型『Delibot』を提供、多様な不定形食材の定量盛付を可能にしました。2030年に向けて1万台の総菜ロボットを提供し、人手不足の解消に貢献したいと考えています」(コネクテッドロボティクス 代表取締役 沢登哲也氏)

2月からトレー供給一体型「Delibot」を導入したブンセン(兵庫県たつの市)では、ひじき煮を中心に盛付ロボットが稼働している。「現場で働く人たちの代替ではなく、ロボットが得意なことをいかに商品企画、製造ラインに落とし込んでいくかが今後の課題と考えています」(ブンセン 代表取締役社長 田中智樹氏)

総菜盛付ロボット「Delibot」 省スペース型

省スペース型「Delibot」は、トレー供給一体型の1/4 のサイズを実現し、狭い現場でも導入が可能になった。

「大型の機械を導入するのは多くの現場にとって難しく省スペース化は必至です。ユーザーのホームデリカの知見を活かしながら開発を進め、食品工場向けのロボットで実績のあるエプソンの協力、支援により小型化に成功しました。

1.2mの範囲でロボットが作業を行い、1人分のスペースで2台作業ができ、容器供給部分を外部に切り離すことで多様な容器に対応が可能となりました。清掃時間は従来の1/4 以下になり、清掃・保守を大幅に向上しています。

ロボフレのポイントとして、量り売りによる生産性の向上があります。定貫売りだと重量精度に時間を割くことから生産性が落ちますが、量り売りなら重量範囲の緩和が可能になるため、ロボットの性能を活かすことができます」(コネクテッドロボティクス VP of Product 塚本光一氏)

省スペース型「Delibot」と、高速弁当盛付ロボットシステム(下記動画)を導入したのが、スーパーマーケットのベルクが運営する総菜工場のホームデリカ。

「建築資材が高騰している中で、小型化・省スペースにより、工場を造る際の建築費を抑えることが求められています。導入当初は操作に不慣れなことから、現場から不満の声が出る可能性もあり、負のイメージがつくと普及が難しくなるので、最初の段階でしっかりと現場とコミュニケーションをしていきたいと思っています」(ベルク 代表取締役社長 原島一誠氏)

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