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動画やARを活用した〝リモート修行〟で学ぶ寿司職人スクール「日本寿司リーディングアカデミー」が開校

2023.03.28

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

「飯炊き3年、握り8年」と言われる寿司職⼈の世界だが、動画やテキストを使って3か⽉で寿司作りのノウハウを学び、オンライン研修と実店舗研修を組み合わせながら、⼀流の寿司職人を目指す「日本寿司リーディングアカデミー」が3月に開校した。

開校の背景には、慢性的な人材不足という日本の寿司業界の現状がある。世界中で高まる寿司・日本食人気で、海外における日本食レストランの数は9年で3.7倍に増加。世界中に店舗を展開するスターバックスでさえ9年間で2倍増であり、いかに日本食レストランが増えているかがうかがえる。

動画やARを活用した“リモート修行”の寿司学校

この状況を支える人材が世界中で必要となり様々な問題が生じているが、最大の問題は、せっかく育てた日本の職人が海外にどんどん引き抜かれてしまうということ。

「年収300万円だった見習いがアメリカに渡っていくつかの店に引き抜かれながら、最終的には自身の店舗を持ち年収8000万円となったことがテレビ番組でも紹介され話題になりました。一方日本では、新店舗が完成したものの職人が引き抜かれて、2年間もオープンできない状態の有名店もあります。

職人を一から育てるには時間も費用も掛かります。寿司の世界が『飯炊き3年、握り8年』と言われる一番の理由は、8年ぐらいまで働いてくれないと技術は教えたくないという実情があるからです。

給与を払って技術を教え、育てた職人がどんどん引き抜かれる現状では、慢性的な人材不足に陥り到底割に合いません。こうした現状を踏まえ、短期間で寿司職人を養成する必要性が今まで以上に求められているのです。

マーケットの急拡大で人材が追い付かず『なんちゃって寿司屋』が海外には多くあります。高温多湿な台湾で寿司を屋台で売るなど、海外では実際に食中毒も多く発生しており、ニューヨークでは手袋の着用義務が条例化されました。このままの状態だと、世界各国で生ものを扱う寿司に規制がかかってしまう可能性もあります。

アカデミー開校には、寿司のレベルを引き上げ、世界中に寿司の正しい知識を普及させ、世界中に職人を育てるという目的もあるのです」(日本寿司リーディングアカデミー代表/ふじなが代表取締役 菊地英晃氏)

円安もあり寿司職人希望者も増えているが、既存の寿司学校は全国で10校も満たないほど数が少なく、場所も東京に集中している。寿司学校に通う生徒は、コロナ以前は、3割が外国人、3割が会社員だったが、今は9割が会社員となっており、自分に適性があるか分からない状態で、仕事を辞めてまで習うにはハードルが高いと考える人も少なくない。

また、卒業した後に実際に寿司屋で働く様子が想像できずに挫折してしまう人も多く、実技に偏り過ぎていることから、習ったことしかできず応用が利かないといった課題もある。

寿司学校は魚をさばくため水回りの設備が必要となるが、シンクを複数人で共有しているため順番を待たなくてはいけない、ウロコ対策として新聞紙を敷いて、後片付けも時間がかかるといった、効率の悪い状況も散見される。さらに大人数で指導を受けるため、講師が魚をさばく様子を対面から見る状態でイメージがわきにくく、誤った方法で覚えてしまうという問題もある。

こうした課題をクリアしたのが日本寿司リーディングアカデミーで使われている「仮想個別指導メソッド」。自宅まで魚を配送するので通学時間がかからず、自宅のシンクなど既存の施設や設備を有効活用できる。オンラインでさばく様子を確認でき、一番見やすい角度からの映像で、自身と講師の目線が同じため、映像を見ながら真似をするだけでよい。

映像は講師が見本を見せて映像の中の生徒が同じ作業を行うので、映像の中の生徒と同じタイミングで作業ができる。映像を止めながら作業する必要もなく、生徒の間違いを先生が指摘するので、個別指導されている感覚で学べる。

仮想個別指導メソッドは、寿司職人を目指すオンライン+実店舗研修の「寿司職人養成コース」(5月8日スタート予定)と、趣味で寿司作りを学びたい人向けのオンラインのみの「寿司マスターコース」がある。

「寿司職人養成コース」は、月曜~金曜はオンラインで届いた魚を使って映像を見ながら学び、定休日の日曜を活用して店舗で職人から指導を受ける実践的な授業。1回目の授業から魚をさばいて握るまでを行い、最大4人までなので個別指導に近い形で学ぶことができる。

オンライン座学の授業は1時間、実技は毎日60~90分。座学用のテキストはオンラインのみのコースで600ページ、職人養成コースだと800ページにも上る。

3ヶ月先までしか予約を受け付けず開始すぐに予約が埋まる「すし匠 齋藤」の齋藤敏雄氏、入会金100万円、月会費3万円の100名限定の会員制で、退会者待ちも多く控える「鮨 佐がわ」の佐川雅温氏など、オンライン授業では現役の一流寿司職人が講師を担っている。

職人だけでなく、包丁ブランド「子の日」代表取締役・澤田裕介氏、骨董の目利きでありコレクターの白洲信哉氏、豊洲マグロ四大仲卸「石司」代表取締役・篠田貴之氏など、各界の有識者も講師陣に名を連ねる。

最新の機材を用いて、齋藤氏の技術を余すところなく伝える撮影をもとに開発したのがARコンテンツ。齋藤氏に合わせて、様々な角度からAR体験しながら魚をさばくことができる。

「仮想個別指導メソッド」の寿司職人養成コース修了者には、「すし匠 齋藤」、「鮨 佐がわ」で見習い同様に働くインターンコースも設置。20歳未満限定のワーキングホリデー制度を活用した海外でのインターン制度も用意している。

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