10-3-2-1-0睡眠法
睡眠の質向上へのニーズが高まる中、SNSで注目されているのが、「10-3-2-1-0睡眠法」。最初の4つの数字は「寝る〇時間前」を意味し、それぞれ「カフェインの摂取」「食事や飲酒」「仕事」「液晶画面機器の視聴」を控えることを推奨している(下図)。
日本睡眠改善協議会上級睡眠改善インストラクターの安達直美さんによると、これは厚生労働省『健康づくりのための睡眠指針12箇条』の内容とも合致しており、基本的にはすべて科学的根拠があるそう。例えばカフェインは個人差はあれど、摂取してから完全に排出されるまでに約10時間かかる。食べたものが胃にとどまり、消化活動が行なわれる時間は約3時間であり、それが就寝時間中だと脳は「活動時間」だと誤解してしまうのだ。
そのほかも脳や体が睡眠モードになるのを阻害する要素なので、これらを排除していくことで、睡眠の質が良くなる可能性は高い。
「ただしこれを全部やろうとしてストレスになっては逆効果。スマホをチェックしないと安心して眠れないという人まで、無理にやめる必要はないのでは。自分がラクにできることから始めて、効果があるものを取り入れていくのがおすすめです」(安達さん)
良質な睡眠を得るには、その10時間前から準備が必要とは驚き。高くジャンプするためには長い助走が必要なように、深い眠りにもある程度の「助走」が必要なのかも。
■「10-3-2-1-0睡眠法」イメージ(就寝時間午後11時の場合)
就寝の10時間前にはカフェイン、3時間前には食事やお酒を控える。さらに2時間前に仕事、1時間前に液晶画面を見るのをやめることで、スヌーズなし(0)の心地よい目覚めが手に入る!
■ 眠りのメカニズム
出典:厚生労働省 e-ヘルスネット
脳の温度(=体の深部の温度)と眠気を促すホルモンの相関関係。自然なリズムでは就寝時間になると脳温が下降し、睡眠を促すホルモンが分泌される。
取材・文/桑原恵美子