就職活動に精を出した経験がある人は、ガクチカに関する質問を受けたことがあるはずです。転職活動でも、社会人経験が浅い場合はガクチカを活用するケースがあります。書き方の注意点や、転職活動での使い方をチェックしましょう。
ガクチカって何?転職活動で使えるの?
ガクチカは、就職活動でよく聞かれる言葉です。言葉の意味や、転職活動でも使えるのかどうかをチェックしましょう。
ガクチカとは学生時代に力を入れたこと
ガクチカとは、『学生時代に力を入れたこと』を省略した言葉です。新卒の就職活動では必ずといってよいほど聞かれる質問であり、学生たちの間で省略形で呼ばれるようになりました。
ガクチカからは、その人の物事への取り組み方・意欲などをチェックできます。人によって何を頑張ってきたかは異なり、アルバイトに精を出した人もいれば、サークル活動・ボランティア活動などを熱心に行ってきた人もいるでしょう。
企業は応募者の人間性を、細かく探ろうとしています。どんな目的意識を持って行動し、目標達成のためにどのような過程を経たのかを知ることで、企業が求める人物像とすり合わせを行おうと思っているのです。
自己PRとの違いは「アピールポイント」
ガクチカとは別に、自己PRを聞かれることは珍しくありません。ガクチカは物事をどのように感じて、行動に反映させるかなどの『経緯』を知るために質問されます。必ずしも、素晴らしい成果・結果は必要とはされません。
一方、自己PRは応募者の強み・スキルなどを生かして、企業にどんなメリットをもたらしてくれるのかを確認する目的があります。そのため、企業への貢献と結び付けて、話を組み立てましょう。
『学生時代のアルバイトを頑張った』という同じエピソードでも、ガクチカと自己PRではそれぞれアピールするポイントが異なります。
ガクチカは『笑顔で接客できるように毎日練習を欠かさなかった』などが当てはまり、自己PRは『レジ打ちが早く、正確だと褒められた』などの内容をアピールするのが正解です。
転職でもガクチカは使える?
社会人経験のある人が転職をする際、一般的には、学生時代に取り組んだことよりも、前職での実績をもとにしたアピールの方がよいとされます。
就職した経験があるのに学生時代の話が中心では、「働き始めてから、何も得ていないの?」と思われてしまうかもしれないためです。基本的には、たとえ短い期間であっても、社会人として何を思い行動したのかという点をアピールします。
ただ、第二新卒や、社会人としてのキャリアが浅い場合は、アピールできる経験自体が少ないものです。就職してからのエピソードだけでは、自分の考え方・物事への取り組み方などを十分に伝えるのが困難かもしれません。
その場合は、「社会人経験だけではうまくアピールできない」と思った部分を補う形で、ガクチカを伝えるとよいでしょう。
企業にとってガクチカを聞く目的とは?
ガクチカをうまく伝えるには、企業の意図を理解する必要があります。企業はガクチカから何を読み取ろうとしているのか、チェックしましょう。
応募者の人間性・性格を理解するため
ガクチカは人間性や個性、考え方などを具体的に知るために質問されます。企業は応募者の見た目・経歴からだけでは分からない、内面をより深く理解するためにガクチカを知りたがっているのです。
スキルだけでなく、人間性・性格も企業は重視しています。もし、善良さに欠ける人・積極性が全くない人を雇ってしまったら、企業が不利益を被る恐れがあるためです。
ガクチカでは『どんなことに興味を持ち、困難があった場合にどう乗り越えていくのか』を伝えて、人間性を知ってもらいましょう。価値観・趣味嗜好などを感じられるエピソードも、効果的です。
また、一般的な学生にしてはレベルが高いと思えるようなことに取り組み、よい結果を残したのであれば優秀な人物だと感じてもらえます。
たとえ結果を残せなかったとしても、難しいことにチャレンジした経験があるなら、向上心・行動力のある人物だと評価してもらえるでしょう。
自社とマッチする人材か確認
力を入れた事柄・エピソードから、自社が求めている人材かどうかを判断することも、ガクチカを尋ねる目的の一つです。
社風に合わない人を雇ってしまうと、実力をうまく発揮してもらえないだけでなく、早期退職されるリスクを負うことになります。
入社後にお互いが『こんなはずじゃなかった』とならないように、自社とマッチする人材かどうかを確認することは重要です。採用活動には時間もコストもかかるので、企業は長く安定して働ける人を採用したがっています。
また、提示されたガクチカと企業との間に関連性がある場合、きちんと企業研究ができていることの確認にもなります。
「準備編」ガクチカの考え方
ガクチカを書き始める際は、まずはポイントを押さえて準備をするとスムーズです。準備を怠ると、企業にとって魅力が感じられる内容を伝えられません。ガクチカに対する考え方をチェックしましょう。
意識すべきポイントを押さえる
上手に自分の人間性をアピールするには、単にガクチカを思い出して書き出すのではなく、意識すべきポイントを押さえておくことが大事です。具体的には、以下のポイントが当てはまります。
- 力を入れていたことは何か
- なぜそのことに力を入れていたのか(きっかけなど)
- 目標設定と、目標を決めるために工夫したこと
- 結果がどうなったか
- 目標・成し遂げようとする過程・結果から何を学んだか
力を入れていたことの例としては、学業以外にもアルバイト・サークル活動・ボランティア活動・留学経験・資格取得などが挙げられます。
「実践編」ガクチカの書き方
ガクチカ作成の準備が済んだら、実践的な書き方に移りましょう。採用担当者の心に響く、上手な書き方のポイントを紹介します。
1.最初に結論を書く
ガクチカを書くときは、「学生時代に力を入れて取り組んだことは○○です」というように、結論から書き始めましょう。冒頭を読んだだけで、企業側が話の大筋を捉えられるので、興味を持って読み進めてもらえます。
ガクチカや面接に限らず、人に分かりやすく物事を伝えたいときは、結論から始めるのが基本です。前置きが長いと、何が言いたいのか分からなくなってしまいます。最後まで読まないと、伝えたいことが分からない書き方は避けましょう。
ビジネスにおいて、必要事項を端的に伝える能力の有無は、その人を評価する上で重要な要素となります。言いたいことを分かりやすく正確に伝えられる能力があるか、チェックされていることを意識しましょう。
2.課題や「なぜ取り組んだのか」
結論をはっきりさせた後は、『なぜ取り組もうと思ったのか』を伝えます。ただ力を入れたことについて語るのではなく、動機・きっかけも丁寧に伝えることが大事です。
仕事においても、その人がどのようなモチベーションを持って物事に取り組むかは、成果を出すために重要だと考えられます。
動機の部分は、入社後も意欲的に働いてくれる人物なのかどうかを見極めるために重要です。力を入れようと思ったきっかけや、どんな目標を立てたのかなどは積極的に盛り込みましょう。
『目標を達成する上で何が課題だと感じたのか』も伝えると、その人を具体的に知るためのポイントになります。具体的なエピソードを伝えて、説得力を持たせましょう。
3.取り組みと結果、過程における学び
力を入れて取り組んだ内容と、結果も伝えます。課題に対しどんな取り組みをし、その過程で何を学んだのかを伝えましょう。
学生時代にアルバイトを頑張ったという話でも、『どこに力を入れ、何を成し遂げようと思ったのか』は人によって異なります。
また、よい結果ではなかったとしても、失敗した結果何を学んだのかを伝えて、人間性をアピールしましょう。結果以上に、結果から学び取ろうとする前向きな姿勢は、評価につながるはずです。
経験を通して得た学び・気付きを生かせる人であれば、向上心を持って企業に貢献してくれそうなイメージを持ってもらえるでしょう。