3. 契約不適合責任を追及できない場合に注意
購入したマンションの欠陥について、買主が売主の契約不適合責任を追及するには、原則として不適合を知った時から1年以内に、不適合があった旨を売主に通知する必要があります(民法566条本文)。
この期間を過ぎると、売主の契約不適合責任を追及できなくなってしまいます。ただし、売主が引渡しのときに不適合を知り、または重大な過失によって知らなかったときは、上記の期間制限は適用されません(同条但し書き)。
また、契約不適合責任の有無・期間は、契約で変更できるのが原則とされています。
特に個人が売主となるマンション売買では、契約不適合責任が全部免責とされているケースや、「引渡しから3か月以内」などと期間が短く設定されているケースが多いので注意が必要です。
なお、以下のいずれかに該当する場合には、契約不適合責任の軽減・免責が無効となります。売主から契約不適合責任の免責を主張された場合には、以下のケースに該当しないかを確認しましょう。
①売主が宅地建物取引業者であり、買主が宅地建物取引業者でない場合(宅地建物取引業法40条)
→不適合の通知期間を引渡しの日から2年以上とする特約を除いて無効
②売主が事業者であり、買主が消費者(事業主としての立場ではない個人)の場合(消費者契約法8条)
→売主の契約不適合責任を全部免除する特約や、故意・重大な過失による契約不適合責任の一部を免除する特約などは無効
③新築住宅の売買契約の場合(住宅の品質確保の促進等に関する法律95条)
→構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分については、瑕疵担保責任(=契約不適合責任)の期間が「引渡しから10年」となり、短縮・免除する特約は無効
取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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