製造元の協力で実現した製造コストの削減
懸案だった製造コストについては、製造手順を見直す、デザインや構造を簡素にする、など細かな取り組みを重ねて削減した。それでも目標の価格に収められず、思うように進まなかった。
製造元とともに行なったコスト削減策は長期に及んだ。佐藤氏はこう明かす。
「『目標の価格になるように、何とか削減できそうなコストを洗い出してくれませんか?』と無茶振りしました。自分たちで削れるコストは削りつつ、製造元も工夫に工夫を重ねてコスト削減をしてもらいました」
製造元とは幾度となく交渉を重ねたが、需要予測や販売見通しといった具体的な説得材料が提供できないことから難しい話し合いになった。手を引かれてもおかしくなかったが、製造元が新しいことへのチャレンジに意欲的だったことから粘り強い交渉が実を結び、協力を得ることができた。
初動の良さからすぐにプレート交換式の開発を決定
「事前の評判がいいものは売れることが多いです」と佐藤氏。『Toffy ハーフホットサンドメーカー』もその例に漏れず、小売店からの発売前のオーダーで全数受注したほど。発売前には完売という異例な売れ方をした。
新たに発売されたプレート交換式は2021年8月に起案。『Toffy ハーフホットサンドメーカー』が発売前に完売という好調な売れ行きから、このまま終わらせるのはもったいないと考え企画した。佐藤氏は次のように話す。
「試作試験中に何度か具材が漏れてしまうことがあったので、終わったら拭いていましたが、普通に水洗いしたかったのでプレートを取り外せるようにすることにしました」
Toffy ハーフホットサンドメーカー<プレート交換式>。カラーは左からグレージ、ペールアクア
プレートが取り外せることを生かし、新たなプレートもつくることにした。新たにつくったのはワッフルプレート(本体付属)、マルチプレート、ワッフルプレート(別売)、たい焼きプレート(同)の3つ。発売からあまり時間が経っていないものの、別売プレート2種の動きはいいそうだ。今後、新しいプレートも発売も検討していきたいという。
ワッフルプレート(本体付属)
ワッフルプレートでつくったワッフル
マルチプレート(別売)
マルチプレートで焼いたパニーニ
たい焼きプレート(別売)
たい焼きプレートでつくったたい焼き
プレートが交換できるようにしたほかに異なる点が、電源コードの長さと本体スイッチの搭載。電源コードは「もう少し長さがほしい」という声を受け70cmから1mに延長した。
また、デザインに違いはないものの、仕上げがやや異なる。『Toffy ハーフホットサンドメーカー』は表面がザラッとしたマットな仕上げなのに対しプレート交換式は光沢を持たせ、ブランドロゴの仕上げも変えた。
プレートが取り外せることからヒーターからプレートへの熱の伝わり方が変わる。これまでと焼き加減が変わらないようにすめ、ヒーターの位置や最高温度、プレートの厚みなどの調整が必要になった。サイズを変更せずプレートを取り外せるようにしたので、内部構造も見直されている。
取材からわかった『Toffy ハーフホットサンドメーカー』のヒット要因3
1.新たな選択肢の提供
食パン1枚でつくれるホットサンドメーカーをいち早く投入。2枚だと量が多いと思う人でも選びやすいよう選択肢を提供することができた。
2.潜在需要を掘り起こした
プロダクトアウト型の商品なので市場性が不明だったが、発売前に家電量販店などから受けた事前注文だけで完売が確定。ニーズがあることに他ならず、商品化したことで潜在需要が掘り起こせた。
3.成果物と商品のリンク
サイズとデザインをほぼ変えずプレート交換式を開発。ハーフホットサンド=Toffyというイメージの定着に少なからず貢献している。
佐藤氏は現状を「食パン1枚でつくれるハーフホットサンドをまだ知らない人の方が多いはず」と総括。市場ニーズは未知数だが、もっと認知度が向上すれば売れ行きはさらに伸びると見ている。
製品情報
https://ladonna-co.net/products/item/k-hs3/
https://ladonna-co.net/products/item/k-hs5/
文/大沢裕司