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【ヒット商品開発秘話】累計15万台以上売れているToffy「ハーフホットサンドメーカー」

2023.03.20

■連載/ヒット商品開発秘話

 ホットサンドが簡単につくれるホットサンドメーカーが数多く発売されるようになった。食パンを2枚使うものが主流だが、1枚でもつくれるホットサンドメーカーが現在、売れている。ラドンナの『Toffy ハーフホットサンドメーカー』のことである。

 2021年8月に発売された『Toffy ハーフホットサンドメーカー』は、女性や子どもにピッタリな食べ切りサイズのハーフホットサンドがつくれる電気式ホットサンドメーカー。食パン1枚と好きな具材を置いて折りたたむと、通電すること約4分で完成する。2022年12月には『Toffy ハーフホットサンドメーカー<プレート交換式>』も追加発売された。これまでに累計15万台以上が売れている。

Toffy ハーフホットサンドメーカー。カラーは左からシェルピンク、ペールアクア、アッシュホワイト

食パンを2枚使う必要があるのか?

 キッチン家電を幅広く手がける同社は、以前からホットサンドメーカーを開発・販売してきた。それは食パンを2枚使うタイプ。だが、『Toffy ハーフホットサンドメーカー』の企画・開発を担当した商品企画部企画課の佐藤賢亮氏は、自社のホットサンドメーカーを使っていてある疑問に持つようになった。

「小さな子どもがいるのでホットサンドをつくって食べさせることがあるのですが、食パン2枚だと小さな子どもにはちょっと大きいんです。栄養バランスを考えて具を挟んでいくと、なかなかのボリュームになります。そのまま食べさせると小さな子どもには多いので、できたものを半分に切っていましたが、切ると中の具が出てきてしまいお皿が汚れてしまったりします。こうしたことから『そもそも食パンを2枚使う必要があるのか?』と疑問を持つようなりました」

 抱いた疑問をこう明かす佐藤氏。食パン1枚でできる電気式ホットサンドメーカーがないか探したところ、見当たらなかった。食パンを2枚使わないといけない理由も見当たらないことから、『Toffy ハーフホットサンドメーカー』を企画することにした。

ラドンナ
商品企画部企画課
佐藤賢亮氏

サンプルでイメージを示し理解を促す

 起案されたのは2020年7月。企画はすんなり通らなかった。

 その主な理由は、これまでになかった商品だけにニーズが把握できないこと。だが、もう1つ大きな理由があった。製造コストが食パンを2枚使うものとほぼ変わらないことである。売価がほぼ変わらなくなるのにつくれる量は半分になることから売れない、と見る向きが社内にはあった。

 商品化を実現するには製造コストの低減が必須。道は険しかった。

 細部の見直しで製造コストが下げられるメドが立ったが、それなのに社内からは反応がない。佐藤氏は設計を進め、サンプルをつくって具体的なイメージを提示することにした。

本体に食パン1枚と具材を置いて挟む

「口頭で説明しても企画書をつくって提案してもなかなか響かなかったので、社内のデザイナーにデザインしてもらったものを元に、サンプルを3Dプリンターでつくったり手づくりしたりすることにしました」

 このように話す佐藤氏。狙いは的中し、サンプルを見て「これいいんじゃない?」といった反応が返ってくるようなった。需要予測や市場規模など企画を理解してもらうための材料がほぼない中、商品化への熱意のみで理解を得た。

 佐藤氏が言うサンプルは、金型をつくる前につくったものを指す。金型づくりに着手したら基本的に、大きな設計変更ができなくなる。ただ、『Toffy ハーフホットサンドメーカー』は焼き上がりが思ったようにならず、金型をつくった後にプレートを含めて、3回ほど手直しが入った。

ハーフホットサンドの焼き上がりイメージ。Toffyのロゴが焼印で入る

なかなか首をタテに振らなかった社長

 熱意とは言うものの、商品化に強いこだわりがあったわけではなく、固執もしていなかった。何しろ同社の開発者は佐藤氏を含めつねに数十の案件を抱えていて、特定の案件にこだわり続ける余裕がなかった。「とりあえずサンプルをつくって、社内の反応を見ることを淡々と繰り返します。反応が良くなかったら企画は引っ込めますし、合理的な理由が見つかったら説得にかかります」と佐藤氏は自身の仕事の姿勢をこう明かす。

 社内で評判が良かった点は、味わいだった。食パンを2枚使ったものと食べ比べると、食パンのカリカリ感が強く、同じ食材を使っても「美味しい」などと多くの社員が好意的な反応を反応。

 ただ、商品化の最終意思決定者である当時の社長はなかなか首をタテに振らなかった。最初につくったサンプルを見せに行っても、「ふーん」と素っ気ないもの。首をタテに振ったのは2021年1月のことだった。

「なかなか首をタテに振ってくれなかったので、別途プレゼンの機会を設けたほどです。プレゼンに参加した他のメンバーはいい商品だと力説してくれましたが、それを受けても当の社長には響きません。商品の特徴やメリットは理解してくれましたが、需要が導けなかったからでした。それでも最後は折れてくれましたが、その場の全員が『これはスゴい!イケるぜ!』みたいな雰囲気ではなかったです」

 このように振り返る佐藤氏。時間がかかった上に確信は持てなかったが、商品化への道筋はできた。

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