自動車を永久抹消登録するときの手続き方法
2種類の廃車方法のうち、手続きがより煩雑なのは永久抹消登録です。自動車税や自動車重量税の還付を正しく受けられるよう、永久抹消登録の手続き方法を確認しましょう。
車をスクラップにする
永久抹消登録は、解体が前提です。まずは、所有している自動車を解体してくれる業者を探さなければなりません。
解体処理が完了すれば、業者から『解体報告記録日』の報告と『使用済自動車引取証明書』の交付があります。前後に付けていたナンバープレートも返還されるため、必ず大切に保管しましょう。永久抹消登録では、これらが解体の証明となります。
自動車の解体には解体費用のほか、業者によってはレッカー代も必要です。また、2005年以前に購入した車であれば、リサイクル費用も用意しなければなりません。
参考:リサイクル料金について|東京都環境局
参考:解体届出 | 軽自動車検査協会 本部
必要書類をそろえて管轄の運輸支局へ
自動車の解体が終わったら、最寄りの運輸支局に必要書類を提出します。以下のものをそろえて準備しましょう。
- 永久抹消登録申請書(OCR申請書第3号様式の3)
- 手数料納付書
- 所有者の印鑑(登録)証明書:発行から3カ月以内のもの
- 自動車検査証
- 自動車登録番号標(ナンバープレート)
- 解体報告記録がなされた日、移動報告番号:自動車の引取業者やリサイクル券で確認
- 実印
- マイナンバーカード(通知カードと運転免許証・パスポートを併せて持参するのも可)
なお、代理人が申請する場合は、印鑑証明書の印鑑が押印された委任状が必要です。また、車検証の住所と印鑑証明書の住所が異なる場合は、戸籍謄本・住民票など変更の経緯を証明できるもの持参しなければなりません。
ただし個人の事情によっては、上記以外のものが必要になることもあります。不安な場合は、事前に電話などで確認するのがおすすめです。
参考:抹消登録(自動車の使用をやめたまたは、解体等または輸出する場合の登録)|自動車検査登録総合ポータルサイト|国土交通省
参考:永久抹消登録
税申請窓口にて還付金の申請
車検の残存期間が1カ月以上ある場合は、自動車重量税の還付を受けられます。
還付申請は廃車と一緒に行うもので、後日別途行うことは不可能です。還付申請書の様式は『永久抹消登録申請書』と一体となっており、別途用意する必要はありません。口座情報などの必要事項を記載して、運輸支局の窓口に提出します。
還付申請した内容は、所轄の税務署にそのまま引き継がれる仕組みです。税務署が申請の内容を精査して問題がなければ、申請した口座に還付金が振り込まれるでしょう。
申請から還付までの期間は、おおむね2カ月半です。万が一、申請内容に不備があった場合は、還付までにより長い時間がかかります。
参考:抹消登録(自動車の使用をやめたまたは、解体等または輸出する場合の登録)|自動車検査登録総合ポータルサイト|国土交通省
参考:使用済自動車に係る自動車重量税還付申請書の記載の手引|国税庁
自動車税の種類と支払い方法は?
2019年の税制改革により、自動車税には『種別割』『環境性能割』という区分が設けられるようになりました。ここでは、自動車税の種類や支払い方法を紹介します。
自動車税の種類とその関連税を知ろう
自動車税には、所有者・使用者に課される『種別割』と、自動車の取得者に課される『環境性能割』の2種類があります。これまで紹介してきた排気量別の自動車税は、種別割の自動車税にあたります。
環境性能割とは、『自動車取得税』の廃止によって導入された自動車税です。新たに自動車を取得した人は、自動車の燃費性能などに応じた税金を納付しなければなりません。税率は自動車によってさまざまですが、0~3%のいずれかが適用されます。
このほか、新車を購入したり車検を受けたりする際には、自動車重量税の納付も必要です。
参考:総務省|地方税制度|2019年10月1日、自動車の税が大きく変わります
参考:総務省|地方税制度|自動車税
自動車税の支払い方法
自動車税の支払い方法は、金融機関の窓口納付のほか、口座振替・コンビニ払いなどがあります。
また近年は地方税の収納手段が多様化しており、クレジットカード決済やPay-easy(ペイジー)、スマホ決済などを採用している自治体も少なくありません。自宅で決済を済ませたい人・ポイントを溜めたい人など、ニーズにマッチした支払い方法を選択できます。
ただし、自動車税の支払い方法を決定するのは自治体です。利用できる支払い方法は異なるため、支払い方法の選択肢については住んでいる自治体のホームページなどで確認しましょう。
自動車税の月割は分割払いできる?
車種・排気量によっては、自動車税は高額になります。「少しずつ納付したい」と考えた場合、分割納付は可能なのでしょうか?
基本は一括支払い
自動車税は、1年分を一括で納付するのが基本です。税額が大きくなると見込まれる場合は、事前に少しずつ準備しておくことが大切です。
経済的な困窮からどうしても納付できない場合は、県税・総務事務所に相談する方法もあるといえます。やむを得ないと見なされた場合は、分割納付が可能になるかもしれません。
ただし、分割納付の要件・納付計画は厳しく審査されることが見込まれます。相談する場合は、給与明細・銀行通帳などを持参して、状況を詳しく説明する必要があるでしょう。
なお、自動車税を納付せずに放置すると、車検が受けられなくなります。延滞金の発生により納税額も増えるため、早めの納付がおすすめです。
クレジットカードを利用した分割払い
クレジットカード決済を選択すれば、支払い回数は自分で設定できます。実質的には、分割納付と変わらない状況となるでしょう。
ただし、クレジットカード決済が可能な場合でも、対応していないカード・分割払いできないカードなどもあります。
自治体がクレジットカード決済に対応しているかはもちろん、『どのカードが使えるか』『クレジットカードの分割納付ができるのか』『分割納付によって手数料が発生するのか』などを確認することが必要です。
なお、コンビニや金融機関に納付書を持参する場合は、クレジットカードは使えません。クレジットカードが使えるのは、オンライン決済のみです。
分割納付が認められるケース
地方税法では、徴収猶予の要件として以下のとおり定められています。要件に当てはまる場合は、自動車税の分割納付が認められる可能性は高いでしょう。
- 「納税者が震災・風水害・火災その他の災害や、盗難などに遭った場合」
- 「納税者や生計を共にする家族が病気やケガをした場合」
- 「納税者が事業を廃止または休止した場合」
- 「納税者の事業が著しい損失を出した場合」
- 「上記に匹敵するような事案が発生した場合」
徴収猶予の要件が認められた場合、1年の猶予期間内に限り分割納付が可能です。
自動車税や自動車重量税の節税方法はある?
自動車税や自動車重量税を節税したい場合は、購入のタイミング・自動車選びに工夫が必要です。税金を安く抑えたいときに、気を付けるべきポイントを紹介します。
購入のタイミングを計る
自動車を購入・新規登録する場合は、月末よりも月初がおすすめです。自動車税は月単位で加算されるため、月をまたぐと1カ月分の節税になります。
また、自動車税を多く納付したくない人におすすめなのは、3月に購入することです。自動車税は、新規取得の翌月から加算されます。年度末の3月に自動車を購入すれば、その年度は自動車税を納付せずに済みます。
一方軽自動車税は月割がなく、1年単位の課税のみです。4月2日以降の早い時期に購入すれば、約1年分を節税できます。
エコカーから選ぶ
税金対策として、電気自動車・プラグインハイブリッド車といった『エコカー』を選ぶのもおすすめです。新規購入の場合は、エコカー減税が適用されます。基準を満たしている自動車は、自動車重量税が免税あるいは減税となります。
ガソリン車でも、排出ガス規制の要件を満たしている場合は、エコカー減税の対象です。ただし今後、排出ガス規制の要件はより厳しくなっていきます。ガソリン車の税優遇措置は減らされる傾向にあるため、電気自動車の方が有利でしょう。
なおエコカー減税の適用期間は、2023年度の税制改革により、2026年4月30日まで延長されることが決定しました。ただし、減税の要件・内容は年度によって異なるため、購入前の確認をおすすめします。
軽自動車を選ぶ
普通自動車の税金に納得できない場合は、軽自動車を選ぶのも一つの手です。
軽自動車税の標準税額は『1万800円(※)』に設定されています。途中で廃車にしても自動車税の還付はありませんが、圧倒的な自動車税の安さは大きな魅力です。
また軽自動車は、普通自動車と比較して維持費も安くなる傾向にあります。会社による違いはありますが、車検代・保険代は普通車よりも安価です。コンパクトな分燃費もよく、日常使いとして便利でしょう。
ライフスタイルに合えば、軽自動車も選択肢に含めてみてはいかがでしょうか。
(※)2015年4月以降に初度検査を受けた場合かつ、検査から13年を経過していない場合
構成/編集部