日本人旅行者が素通りしてしまうような場所に、実は本当のアメリカ旅の魅力が隠されているもの。現地ライターならではの目線で、そんなおすすめのアメリカ旅行先をガイドしていくシリーズ、第6回はカウアイ島。
サステナブルに生まれ変わったハワイ最古の島で自分の心を見つめる旅へ
ようやく日本もコロナ5類移行でマスク着用が個々の判断に任されるようになり、海外旅行解禁の機運が高まっているのではないだろうか。
アフターコロナ初の海外旅行先として、ハワイを選ぶ人は多いようだ。
ただし、日本人の行き先は相変わらずホノルル、ワイキキの定番コース。アメリカ人の場合はどうだろうか?現地ライターの目線で最新トレンドを紹介しよう。
旅行者数が2023年1月にコロナ以前の2019年1月の訪問者数を上回るなど、人気がうなぎのぼりなのがカウアイ島だ。別名「ガーデン・アイランド」と呼ばれるカウアイ島は、ハワイ諸島において最初に生まれたと伝わる。
カウアイ島は島そのものが大自然のかたまりであり、パワー・スポットの宝庫。さまざまな映像作品のロケ地ともなっており、日本人になじみのある映画シリーズだけで「ジュラシック・パーク」、「アバター」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」と大自然を舞台とした大作が並ぶ。
ハワイの中でもオアフ島、ハワイ島、マウイ島と比べ、日本人からの知名度はほぼないかもしれない。だが、北米では複数の旅メディアで「2023年に訪れたい旅行先」として取り上げられているほど注目が高まっている。
メタ(旧フェイスブック)の創業者、マーク・ザッカーバーグ夫妻の別荘が話題になったのも記憶に新しい。その人気の理由は何だろうか。
他島と異なるのは、手軽に絶景ポイントやハイキングコースへアクセスでき、しかも無数に点在すること。野鳥のさえずり、愛らしいウミガメ、アザラシ、イルカ、クジラの数も圧倒的だ。それゆえ、旅行トレンドのキーワードである「ウェルネス」とも合致する。
2022年12月、カウアイ島北部のリゾート地、プリンスビル(Princeville)にオープンしたワン・ホテル・ハナレイ・ベイ(1 Hotel Hanalei Bay)。旧リゾート施設を、周辺の景観に溶け込むように再生素材や地元産素材でリノベーションした、サステナブル・ラグジュアリーの最先端を行くホテルだ。
従来の美容スパとは別に、今年5月にはヴィタヘルス・メディ・スパ(Vitahealth Medi Spa)をオープン予定で、医師、看護師らの医療チームによる統合医療トリートメントを提供。
同時に、フィットネス・ビジネスを展開するXPT ライフ(XPT Life)と提携し、より本格的なリトリート・プログラムも行う。あくまで富裕層向けだが、時代を先取りした究極のウェルネス・リゾートと言えるだろう。
ウェルネスとは、「心身を癒やす」という意味。このコロナ禍で心身ともに疲弊したのはアメリカ人も同じだ。先の見えない不安から、特にメンタルへのダメージは計り知れない。
つまり、今求められているのはリラックスし、閉塞感から解放され、本来の自分を取り戻すこと。カウアイ島の持つ癒し、ヒーリング、ウェルネスのエネルギーに包まれて心をととのえることは、「今を生きる」ことにフォーカスする、ビジネス・パーソンにも流行中の「マインドフルネス」にも通じる。
アメリカ人のみならず、日本人にも必要なウェルネス旅を、今こそ満喫してみてはいかがだろう。
マスクもワクチン接種・陰性証明も不要となって久しいアメリカでは、昨年から旅行ブームが起きている。カウアイ島のリフエ空港(Lihue Airport)もすっかり元通り
ワン・ホテル・ハナレイ・ベイのロビー。敷地内の植物は外来種を排除し、ハワイ固有種に植え替えるなど、「ワイルドライフ・フレンドリー」のポリシーを徹底している
作家のマーク・トウェインが「太平洋のグランド・キャニオン」と絶賛したワイメア渓谷(Waimea Canyon)は、初心者から上級者までに対応するトレイルが交錯。ハイキング好きのアメリカ人に喜ばれている