最近ではスマホなどを使って寝ている間の脈拍のほか、無呼吸症の傾向や数値化された睡眠の質まで確認できるようになった。中でも寝具は睡眠中の状態に合わせて枕の高さを調整するなどの進化が進んでいる。
3〜4年前から注目を集めるスリープテックは、2年ほど前から進化が加速してきた。特に、睡眠に適した室温制御を行なうエアコンや、ここで紹介する敷きパッドなど〝寝心地のいい温度を自動で整える〟スリープテック製品が充実してきている。
従来の快眠グッズで採用されてきた〝低反発〟にセンサー技術を組み合わせ、ユーザーに最適な寝床を自動的にカスタマイズする寝具の開発も目覚ましい。センサーで各部の圧力を計測し、ベッドの区画ごとの沈み込み方などをオートで調整。姿勢の変化を促して体重を分散させる……といった具合だ。枕については、いびきをセンサーで検知すると強制的に仰向けから横向きにするようにするモデルのほか、睡眠中に楽な姿勢をキープしやすいように高さを調整する枕も登場しようとしている。
こうした環境や人をセンシングして自動調整する寝具が、当たり前のようになる日も近いだろう。
高さ調整によってユーザーの安眠を促す!
Ax Robotix『ねむりす』オープン価格(実勢予想価格約5万円)
睡眠の質を向上するスマート枕。専用リモコンやスマホと連動し、枕の設定をユーザーがカスタマイズすることもできる。「ファーストキャビン」というホテルでは試験導入が始まっており、2023年中には一般販売開始予定。
〈睡眠のメカニズム〉
同社が以前に製品化した大きなハンモック型に比べて大幅にコンパクトな『ねむりす』は、仰向けと横向きを判定すると、左右に備わるモーターが作動し、枕を最適な高さに自動で調整する仕組みだ。寝ている時に頭、首、肩が楽な姿勢を維持しやすく、いびき防止の効果も期待できる。
寝心地のいい温度にコントロール
パナソニック『暖房敷きパッド DB-BM1L』オープン価格(実勢価格約2万4640円)
布団を温めて心地いい入眠をサポートするだけでなく、時間や室温に合わせた温度のコントロールによって、寝汗をかいたり急激な冷えによって体温が低下したりすることを防ぐ。昨秋に発売され、今シーズンの販売分は市中在庫のみ。
〈睡眠のメカニズム〉
「おやすみスタート」のボタンを押すことで、温度をゆっくりと下げていく。起床の時間が近づくと再び温度が上昇。人の体を温めて爽やかな目覚めを促す。この間、リモコンのセンサーが作動し、室温が約5℃下がると温度設定を自動的に約1℃上げてくれるので、急に冷え込む夜でも安心だ。
マットレスの硬さがいつでも自分にピッタリ!
ANSSIL『Sleepinbody Mattress』価格未定
複数の区画で構成されるエアベッドと、圧力センサーを備えたマットレスの二重構造になっている。ANSSILは韓国のヘルステック企業で、同製品は「CES 2023」のイノベーションアワードに輝いた。日本展開は未定。
〈睡眠のメカニズム〉
マットレスが人の体型や寝返りを検出すると、スマホのアプリと連携して、エアベッドの区画ごとに空気の注入もしくは放出を行ない、沈み込み方を自動的に調整。寝ている体にマットレスをジャストフィットさせる。寝床の硬さは常に最適というわけだ。
取材・文/藤山哲人
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2023年1月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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