DIME MAGAZINE
現代表が過去に親族の歩行事故に直面。その悲劇から生み出されたインターフェース
松本 視覚障がいを抱える方を、振動で目的地に誘導する「あしらせ」。プレスリリースで概要を拝見した際に、個人的にかなりの衝撃を受けました。
振動で歩行をナビすることで、言語レスの目的地誘導が可能になるというのは、素晴らしい発想と感じます。
まずはじめに、この歩行ナビゲーションシステムを御社が考案された経緯について、お聞かせいただけますでしょうか？
代表取締役CEO 千野さん きっかけは、私が自動車の制御エンジニアだった時に、親族の歩行事故（妻の祖母が川に落ちて亡くなった）に遭った際、「歩行も概念的にモビリティなのでは？ もっと歩行にテクノロジーが入れば、より人の歩行生活が豊かになるのではないか？」と考えたことです。
そこから「目が不自由」「歩行」といったキーワードで活動を始めました。
視覚障がい者の方々と様々なコミュニケーションをしていく中で、彼らは聴覚や保有視力、手（白杖）、足の裏など様々な部位で安全情報を取得しているという特徴から、そういった部位を徹底的に避けながらも情報を直感的に伝えられる場所を探していき、現在のインターフェースとナビゲーションシステムの構築に繋がりました。
100名を超える当事者と共に歩み、性能の向上を目指し続けた「あしらせ」が世界的に評価されたことについて
（筆者注：デバイスは上記画像のように、市販されているさまざまな靴に装着して使用することが可能）
松本 それから「あしらせ」と言えば、今年の1月5日から8日にかけて開催された、ラスベガスでのハイテク技術見本市『CES2023』において、「Innovation Award」を受賞した事実も、それだけこのガジェットが世界的にも注目された証拠であると感じるところです。
この優れた技術とアイディアを有した企業とテクノロジーにあたえられる栄誉を受賞した際の感想などを、教えていただければ嬉しいのですが……。
取締役CDO 徳田さん 私たちが心血を注いで開発してきたといえるプロダクトが、世界中の方々にも共感いただけたことをうれしく思います。
受賞に際し、製品開発を進めるにあたって一緒に走ってきて頂いた多くの視覚障がい者の方々の顔が浮かびました。
100名以上の当事者の方と検証を行い、フィードバックを受けては構造やアルゴリズムに反映してのサイクルを繰り返してきて、ようやく製品として形になってきました。
結果として、それが技術や独自性に繋がってきたのかなと感じています。
もちろんまだまだ道半ばであり、よりご期待に応えられる様に多方面から改善・改良にと突き詰めていきますので、今後とも見守って頂けますと幸いです。
「あしらせ」はクラウドファンディングページから購入が可能
松本 最後になるのですが、実際に「あしらせ」を購入したいという方もきっと多くいらっしゃると思います。
この「あしらせ」を購入するための手順について、簡単にご教示いただいてもよろしいでしょうか？
現在クラウドファンディングが進行中ですが、これが終了したのちの、一般販売の予定など教えていただけますと光栄です！
COO 石井さん 先行販売モデルに関しては数量限定となっており、現在はクラウドファンディングのみでの取り扱いとなっております。
CAMPFIRE様のwebサイトより直接プロジェクトページへアクセスいただくか、もしくは弊社webサイトよりアクセスいただきますとご購入が可能です（※別途、CAMPFIRE様の会員登録等が必要になります）。
この先の一般販売の予定につきましては、今回のクラウドファンディングでご支援いただいた皆様のご利用状況やフィードバック等をいただきながら、社内で検討し決めていきたいと考えております。
※クラウドファンディングは3月7日に終了し、総支援金額7,601,298円という未曾有の数字を記録。その注目度の高さが窺えた。
雨天時でももちろん問題なく使用可能！多くの視覚障がい者の方々の歩行の手助けとなることを願ってやまない…
デバイスを装着した靴とアプリとを連携することで、進行方向を振動で利用者にダイレクトに伝えてくれる機能を有した「あしらせ」。
振動で目的地に誘導するという言語レスな仕様は、もしかすると今後、世界中の視覚障がい者の方々にとっては福音となる可能性も考えられる。
さらに気になるのは雨天時の性能。
これについても別途質問をさせていただいたところ、「雨天時でも問題なくご利用いただけますとの力強い回答を得ることができた。
これなら外出時の「あしらせ」使用中、突然の雨にも焦ることなく、冷静に進行方向のナビゲートを受けながら移動することが可能となる。
また、靴に装着するデバイスの充電も目安として1週間に1度程度という低頻度で十分とのことなので、これも活用する側に立ってみると嬉しい“強み”だろう。
文／松本ミゾレ
【取材協力】
株式会社Ashirase
「あしらせ」クラウドファンディングページ
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