2022年4月から金融庁が小学校・中学校、高校での新しい「お金」の授業を始めました。
オンラインショッピングや電子マネー決済などの拡大によりお金への価値観が変化しつつある現代社会においては、お金に関する知識と判断力を養い、お金の価値を実感することがより一層求められています。
また、昨年は急激な円安により円相場が一時1ドル=150円近くまで下落。1990年8月以来およそ32年ぶりの安値水準による物価高騰は、家計への負担を大きくしました。こうした不確実な為替変動をはじめ、少子高齢化や人口の減少といった成長制約要因を抱えた国内の経済状況下では、子どものうちからフィナンシャルI Qを伸ばし、金融資産を保有・管理するスキルを身につけることが若者のライフプランを支える重要な要素となってきています。
目次
子どものフィナンシャルIQを楽しく伸ばすボードゲームがある
子どものフィナンシャルIQを伸ばすには学習も大切ですが、遊びで自然に身に付く知識もあります。それにふさわしいもののひとつにボードゲームが挙げられます。
「損益計算表」と「貸借対照表」との関係を理解できるボードゲームとは?
『キャッシュフロー・フォー・キッズ』とは、お金の哲学書『金持ち父さん貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキ氏が考案したボードゲーム。6歳以上を対象年齢に、キャッシュフローについて学び、フィナンシャル・リテラシー(お金の読み書き能力)を身につけるための「損益計算書」と「貸借対照表」との関係を理解するのに役立ちます。
※「損益計算書」:ここでは「不労所得」−「支出」=「経済的な自由度」を示します。「不労所得」―「支出」がプラスであれば経済的自由を獲得したことになり、ゲームに勝ったことになります。
※「貸借対照表」:バランスシートと呼ばれ、「資産」と「負債」を比較し、財政状況を示します。
『キャッシュフローフォーキッズ』のゲームの準備
① 緑色の「資産カード」、赤色の「負債カード」、黄色の「サンシャインカード」をよく切り、ゲーム盤上の所定の位置(左側)に伏せて置きます。
資産カードには、<ホームビジネス><株式><不動産><銀行預金>といった資産を増やすアクションが書かれています。
負債カードには、<生活費><むだづかい>といったローンの支払いやリフォーム費用、娯楽費などの支出が書かれています。
サンシャインカードには、<ビジネスを始める><株価アップ>など、資産の増加につながるイベントが書かれています。
② 各プレイヤーに「財務諸表」を1枚ずつ配布。
左側には緑色の「資産カード」と赤色の「負債カード」を置く「貸借対照表」のスペースが設けられており、右側には緑色の「不労所得トークン」と赤色の「支出トークン」を置く「損益計算書」のスペースが設けられています。
③ 現金(紙幣)を扱う「マネー・バンカー」を一人選びます。
④ 次に、緑色の「不労所得トークン」と赤色の「支出トークン」を扱う「トークン・バンカー」を一人選びます。
⑤ 「マネー・バンカー」は、ゲームを始めるための$3000を各プレイヤーに配ります。プレイヤーはこの$3000をやりくりして「資産」を増加させ、経済的に自由な状態になることが目標です。
⑥ 次に「トークン・バンカー」が、赤色の「支出トークン」(1枚$100)を7枚ずつ各プレイヤーに配ります。各プレイヤーは、配られたトークンを「損益計算書」の「支出」欄に置きます。
※「支出トークン」$700分をひと月の支出(生活費)と考えることで、それを上回る不労所得を得られるように促します。
⑦ 最後に、各プレイヤーが自分の選んだコマをゲーム盤のStart Here(ここからスタート)上に置けば準備完了です。
子どもがお金を学ぶボードゲーム『キャッシュフローフォーキッズ』のゲームの流れ
各プレイヤーがそれぞれ2個のサイコロを振り、出た目の合計が一番大きかったプレイヤーからスタート。後続プレイヤーは時計回りでこれに続きます。
サイコロを振って出た目の数だけコマを進めます。
緑色のマスに止まった場合「資産カード」を1枚引きます。
今回引いたカードは<ホームビジネス>。『初期費用$2000 でヘアケア商品の会社を立ち上げ、$200の不労所得を得ることができる。』といった内容が書かれています。
カードに書かれていることを実行するか否かはプレイヤー次第です。
実行する場合は「マネー・バンカー」に$2000を支払い、「トークン・バンカー」から不労所得トークンを受け取ります。トークンは「損益計算書」の所定の位置へ。カードは「賃借対照表」の所定の位置へ置きます。
カードの内容を実行しない場合は、カードを山の一番下に戻します。
次のプレイヤーが止まったのは赤色のマス。この場合「負債カード」を1枚引きます。
今回引いたのは<大きくて新しい家>。『大きな家に引っ越したので、住宅ローンの金額も大きくなる』と書かれており、増える支出は$200です。
(最初に配られる7枚の支出トークン+今回受け取った2枚($200)の支出トークン)
「トークン・バンカー」から支出トークンを受け取り、カードとトークンを先程の要領で所定の位置へと置きます。
次のプレイヤーが止まったのは黄色のマス。この場合「サンシャイン・カード」を1枚引きます。
今回引いたのは<金もうけ>。『近所の人の庭の草かりをする。ルーレットを回して、いくらもうけたか見てみよう』と書かれています。ルーレットの止まった場所に応じて銀行からお金を受け取ります。
今回は草刈りのお手伝いで現金$500を手に入れることができました。
ゲームの大まかな流れは以上の通りです。
子どもがお金を学ぶボードゲーム『キャッシュフローフォーキッズ』の概要と目標
このゲームで重要なのは緑色のマスに止まった時に「資産」を買うことです。資産はプレイヤーに「不労所得」をもたらしてくれます。
そしてこのゲームの最終目標は、「不労所得トークン」の総額が「支出トークン」の総額を上回ることで、給料を必要としない経済的に自由な状態になることです。