「猫吸い」とは、猫の体に自分の顔をうずめてスーハースーハ―と吸いまくり猫の香りと幸せを堪能する行為です。依存性が高いことでも知られ、さながら「ちょいと一服」感覚で日常的に猫吸いを行う猫飼いはきっと少なくないでしょう。
この「〇〇吸い」ですが、実は猫に限らずどんな動物でも有効なのがポイント。「犬吸い」「ハム吸い」「うさ吸い」など、SNSには愛するモフモフの家族たちとコミュニケーションをとる飼い主さんたちの投稿が日々溢れています。
さて今回ご紹介するのは、そんな猫吸い…ではなく、「リチャ吸い」が羨ましすぎると話題になったあるツイート。
「リチャ」とは一体どんな生き物か、あなたはわかりますか…?
これぞリチャ吸い
モフモフの小さな生き物を両手に優しく抱え、「リチャ吸い」をする飼い主さん。
そんな飼い主さんの行動にも動じず気持ちよさそうに吸われ続けているのが、「リチャードソンジリス」のハチくんです!
リチャードソンジリスのハチくん
リチャードソンジリスの名を初めて聞く人も多いかと思いますが、何を隠そう筆者もその1人でした。リチャードソンジリスとは何ぞ?という人のために、彼らの魅力を少しだけご紹介しましょう。
リチャードソンジリスは、地上で生活する「地栗鼠(ジリス)」の一種です。名前の由来は発見者である探検家、ジョン・リチャードソン氏より。木上で生活するシマリスなどと同じリス科ですが、ジリスは主に地面に穴を掘って暮らしています。
個体差はありますが体長はおよそ30cm前後で、プレーリードッグを小さくしたような見た目をしています。単独行動が基本で、生息地は主にカナダ南部からアメリカ北部の草原。昼行性で昼間は巣穴から出て日光に当たっているため、20度以上の温かくて日当たりの良い環境を好みます。
一般的に、野生のジリスは警戒心が強いといわれる生き物です。しかしリチャードソンジリスの場合意外とそんなこともなく、一部の動物好きの間では小型草食動物の中でも懐きやすいことで有名なのだとか。
(もちろんなかには臆病で警戒心が強い子もいるため、リチャードソンジリスなら絶対に懐くというわけではないのであしからず!)
そんなリチャードソンジリスのリアルな生態がこちらです。
警戒心どこ…?(笑)
弱点であるはずのお腹をぽにょりとさらけ出し、何かあったらすぐに地面を蹴らなければいけないはずの小さなあんよを放り出し、寝こけるその姿はさながらぬいぐるみのよう。
実はリチャードソンジリスは、臆病そうな見た目に反してコミカルで愛嬌のある仕草には定評があり、ひとたび一緒に暮らすとその魅力にハマってしまうといわれるユニークな生き物なんです。どことなくおじさん風味な行動から、愛をこめて「おっさん系ペット」とも呼ばれることもあるのだとか。
敏感なはずの足先に触れられても意に介さず眠り続けるこの無防備っぷり…愛しすぎます!
そもそもこちらのリチャードソンジリスのハチくんは、「どこでも寝られるし何しても寝てる」と飼い主さんにいわれるほど特におおらかな性格をしているそうで。
充電されても気にしない。
<動画:ハチ公の僕(@hacchi_pucchi33)さんのツイッター投稿より>
ハロウィンのコスプレを着せられたままおしりを持ってフリフリされても気にしない。
という、超大物なんです!
ここまで信頼しきった姿を見せてくれると、なんとも飼い主さん冥利に尽きますね。
さらに寝相のパターンも様々で、猫のように液体になっていることもあれば…
赤ちゃんのようにお布団で寝ていることもあるリチャードソンジリスのハチくん。
うーん、守りたい。その寝顔。
こんな生き物、尊すぎやしませんか?
動物好きライターを名乗っているにもかかわらず今までリチャードソンジリスの魅力を知らずに過ごしてきたと思うと口惜しい気持ちでいっぱいです。
豊満なボディにモフモフなほっぺ、ちょこんとついた手足、そして何より野性味ゼロのこの寝顔。どれをとっても愛くるしく、思わずリチャ吸いしたくなるのも頷けるフォルムですよね。
飼い主さん自ら「主の特権」とコメントしているリチャ吸いのツイートは、「羨ましい」「吸いたい」と通りがけに見かけた人たちを釘付けにしていたのでした。
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余談ですが、「〇〇吸い」には科学的にもリラックス効果があるとされ、供給中の人間の脳内では「オキシトシン」が分泌されているといわれます。(※)
オキシトシンは幸せホルモンや愛情ホルモンとも呼ばれているホルモンで、分泌されることでストレスの緩和や抗うつ作用、精神を落ち着かせて安らぎを与える作用などをもたらします。オキシトシンが十分に分泌されている状態だとさらに、同じく幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌も促されるという相互作用もあるのだとか。
モフモフに顔をうずめているだけでも癒されるのに、さらに脳内で幸せホルモンが分泌されるとは「〇〇吸い」の効力恐るべしですね!
(※「吸う」ことに限らず、動物と触れ合ったり非言語コミュニケーションをとることでもオキシトシンの分泌が促進されるといわれています。)